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県議会土砂規制条例可決、第三者委員会も瑕疵と結論――辺野古基地阻止は新たな段階へ

7月13日、沖縄県議会の6月定例会最終日。県内に持ち込まれる埋め立て用の土砂を規制する条例が賛成多数で可決され成立した。施行は本年11月1日。

条例は公有水面埋め立てに伴う事業で、沖縄県に固有な自然環境を守るため県外からの特定外来生物を規制し生物の多様性を確保、自然環境を保全するのが目的。同様の条例は全国の自治体で制定されているが、公有水面に伴う事業を対象にしたものは全国初。

条文には公有水面埋め立て事業で特定外来生物が付着している土砂や石材を県外から県内に搬入してはならないと規定。90日前に知事に届け出なければならないとする。罰則はないが、違反した場合、事業の中止勧告や立ち入り調査を沖縄県が行なうことができる。

辺野古沿岸部を埋め立て、2本の滑走路を持つ広大な基地を建設するには、埋め立て土砂2100万立方メートルが必要。10トントラックに6立方メートルを積んだ計算で、350万台分、東京ドーム17個分に相当する。このため防衛省は、大量の土砂を沖縄県内で調達するのは不可能として、奄美大島や徳之島、九州など県外から確保する計画だった。

一方、「沖縄県の歴史上、過去に例がない異常な事態。戦後最大の環境の破壊になる」として辺野古新基地建設に反対する県議らが今年の3月から密かに条例制定の準備を進めてきた土砂規制条例が可決されたことで新基地建設が大幅に遅れることは確実だ。

早速、菅義偉官房長官は13日の会見で「特定の事業を狙い撃ちにしたものにならないよう、その運用を慎重に見守っていきたい」と“土砂規制条例”を牽制。さらに、同じく公有水面の埋め立てが進められている那覇空港第2滑走路建設事業について「知事がどのように考えているのか、ぜひ機会があったら聞いてみたい」と述べ、条例運用で新基地建設と那覇空港と“区別”して知事が判断する意図があるのではないかと釘をさした。

翁長雄志知事は14日、「土砂規制条例」が可決されたことを受けて、出張中のハワイ州ホノルル空港で記者団の質問に応じた。那覇空港第2滑走路の工期に「それほど影響しない」との見方を示した上で、届け出を審査する立場として「条例にのっとってしっかり対応していきたい」と述べた。また、菅官房長官が会見で、条例が特定事業の狙い撃ちにならないか警戒感を示したことに、知事は「ならないでしょうね」と反論し「自然を守りながら生活を守ることの難しさがある。ただ基地と生活の問題はまた違う話だ」と不快感を示した。

【翁長知事、承認取り消しも】

新基地建設を進めたい政府側にとってはさらに厳しい状況が続く。16日、出張から帰任したばかりの翁長知事に、新基地建設に伴う前知事の埋め立て承認を検証してきた第三者委員会が報告書を取りまとめ提出したのだ。この委員会は今年1月、翁長知事が公約として掲げた「新基地は絶対につくらせない」を実現させるために設置された。弁護士や環境の専門家6人で構成され前知事の埋め立て承認に関わった県職員から聞き取り調査などを行なってきた。

翁長知事に提出された報告書は全部で600ページ以上の構成。埋め立ての必要性や国土利用上の合理性、環境保全、法律に基づく他の計画との整合性の4項目で「前知事の承認には法的瑕疵が認められる」と結論づけた。第三者委員会の報告書を県庁で受け取った翁長知事は「顧問弁護士の意見を聞き内容を精査し、埋め立て承認の取り消しも含め対応する。慎重に検討したい」と述べた。

第三者委員会の報告を受け翁長知事は早ければ来月下旬から9月上旬に“承認取り消し”に踏み切る公算が大きくなった。沖縄県庁内では政府との法廷闘争をにらんだ動きが加速する。

安倍政権が沖縄県民の民意を無視して“粛々”と進めてきた新基地建設。その先にあるのは翁長知事が言う政治の堕落。新基地建設の事実上の頓挫で日米安保に亀裂が生じる事態が刻一刻と迫っている。

(本誌取材班、7月24日号)