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小嶋進さん(元ヒューザー社長)、再審請求へ──『週刊新潮』が掲載しなかったコメント全文掲載

2005年に発覚した耐震偽装事件で、強度不足を知りながらマンションを顧客に販売して代金をだまし取ったとして、詐欺の有罪(執行猶予付き懲役3年)が確定したマンション企画・販売会社「ヒューザー」(倒産)の小嶋進元社長(61歳)が東京地裁に再審を請求する予定だ。再審請求に必要な新証拠も見つかったという。

小嶋元社長は、一連の経過をつづった電子書籍『偽装──「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」』(kindle版、金曜日)を今年4月に出版しており、そのなかでこう強調している。

「たとえ無実でも、社会的に抹殺されてしまうことがあるのだ――。そんなこの事件の真実と本質を、無念の思いを込め、記録として遺しておくことに決めました」
「これから本書で明らかにしていく事実が、これまでテレビや新聞で報道されてきた『耐震偽装事件』の内容とはあまりにもかけ離れていることに、読者の皆さんはきっと驚かされることでしょう。私を断罪する一方で、警察や検察、報道機関が犯した数々の失態の責任は、すべてうやむやにされています」
「これは、私ひとりの問題では決してないと思います。記録として遺すことで、二度と私のような目に遭う人間が現れないために、私のとんでもない体験を役立てたい」

ところが、この小嶋さんの思いを冷やかす記事を『週刊新潮』(酒井逸史編集・発行人、5月7・14日号)が掲載した。夜間に自転車を押しながら歩いている小嶋さんを、本人の了解を得ずにこっそり撮影し、〈冤罪のヒーローとして脚光を浴びるつもりなのだ〉と書いたのだ。(記事によると、写真撮影者は大橋和典氏)

小社は、小嶋さんの本を出版した関係から、4月25日(土)午後9時43分に届いた『週刊新潮』からの質問を小嶋さんに取り次いだ。そして、翌26日(日)午前11時14分に小嶋さんからのコメントを『週刊新潮』に送った。

字数の関係上、小嶋さんのコメントがすべては掲載されないことは当然だろう。しかし、掲載されなかった部分が多い。そこで、小嶋さんの了承を得たうえで、「質問」と「回答」の全文を公開する。小嶋さんの誠実な態度がこの回答にも示されている。

(伊田浩之・編集部)

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【『週刊新潮』からの質問】
(1)再審請求への思いをお願いします
(2)事件前と現在の生活(給料や食事、着る物など)はどう変わりましたか

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【『週刊新潮』への回答】
(1)再審請求への思いをお願いします

私は「耐震偽装」に全く関与していないにもかかわらず有罪とされ、地位も名誉も奪われました。しかも、私が罪に問われた「詐欺」容疑とは、警察と検察の証拠捏造によるものでした。「偽装をさせてマンションを売った」からではなく、耐震偽装の発覚後も「マンションを引き渡して残金を受け取った」から、というものです。でも、この容疑自体が、耐震偽装の「小嶋首謀説」を完全に否定しているわけです。
私は無実を晴らすため、『偽装――「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」』という電子書籍を出版しました。警察や検察、報道機関、裁判所が犯した失態をうやむやにはさせまいと、その責任を問うものです。一体どちらが「詐欺師」なのか、まずは読者に判断してほしいと思っています。
その上で、命のある限り、再審請求し続ける覚悟です。開かずの門だろうと、死ぬまで叩き続けるつもりです。

 

(2)事件前と現在の生活(給料や食事、着る物など)はどう変わりましたか

今はマンション管理の仕事をしています。ペンキ塗りやごみ掃除などをして、どうにか生計を立てています。
天が私に課した使命とは、プライベートジェット機に乗って世界を遊び回ることではなく、泥まみれになって己が作ったマンションの溝を浚い、入居者に気持ちよく生活してもらうことだと、今は思っています。さらには、「公正であるべき裁判の不公正」という社会の不条理に一石を投じることだと思っています。

長期契約で川崎重工業に3400億円――時限立法で武器予算拡大

防衛装備のため、長期契約を可能とする「特定防衛調達特別措置法案」が提出され、衆院安全保障委員会で4月2日までの4時間弱の審議で可決、参院へ送られた。

予算組みは単年度ごとが基本。国会の議決があっても5年を超える契約で債務負担(支出)することは財政法違反だ。ところが、この法案は、中期防衛力整備計画に必要な約25兆円を7000億円削減すると算定し、防衛装備の買い控えではなく、まとめ買いで削減するとして、10年以内の長期契約を、計画終了年である2018年度末まで結べる時限立法だ。終了年に2028年までの契約が可能で、「防衛省による武器予算長期囲い込み法」と言うべき法案だ。審議では「2015年度では固定翼哨戒機(P-1)20機のみを要求しているが、来年度以降は対象を広げるのか」と問われ、中谷元防衛大臣は「SH-60KやUH-60Jの固定翼機が対象になりうる」と答え、後に「回転翼」と訂正した。まるで中身が分からないまま子どもにねだられたプラモデルのリストのようだ。

ちなみにP-1の製造社は川崎重工業1社のみで同社は20機分3400億円を手にしたも同然だ。しかし、審議ではP-1には1機156億円の購入実績があり、今回は1機170億円で単価は上がることが判明。左藤章防衛副大臣は通信など必要な仕様を付け「191億円と査定されたものが170億円」だと釈明。企業の言い値であり、縮減効果はウソに近い。

衆院では共産・社民以外は全党が賛成し可決した。

日本経済団体連合会は、昨年4月に武器輸出三原則撤廃と同時に誕生した「防衛装備移転三原則」を歓迎し、翌5月には経済産業省と防衛省を招いて説明を聞いた。今年1月には、財政悪化で国が戦闘ヘリコプターの発注を取りやめて損害を被ったとして富士重工業が国を訴えた裁判で、国に350億円余の支払いを命じる高裁判決が出た。今回の法案で、財政悪化にかかわらず、医療や社会福祉を削ってでも武器商人に税金を投じる道ができた。時限の延長は折り込み済みだろう。今年度の防衛関係予算は補正予算を含め過去最高の5兆円を超え、栄えるのは軍需産業だ。このままでは参院では21日にも採決の可能性がある。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、4月17日号)