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大阪市など地方議会から包囲網――ヘイト・スピーチ条例で規制

ヘイト・スピーチ(差別煽動表現)に対し、大阪市が「ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)」を公表し、4月12日まで意見を募集している。要綱案は2月に橋下徹市長が市人権施策推進審議会の答申を受けてまとめたもので、全国初の条例化をめざす。

要綱案によると、ヘイト・スピーチは特定の人種・民族の属性をもつ個人または集団に対し、社会からの排除、権利・自由の制限、憎悪・差別意識や暴力の煽動を目的に、侮辱や誹謗中傷し脅威を感じさせる表現活動と定義。人の尊厳を害し差別意識を生じさせるおそれがあることから、必要な措置をとることによって人権を擁護しヘイト・スピーチの抑止を図ることを目的としている。

具体的措置として、学識経験者らによる審査会を設け、ヘイト・スピーチと認定すれば表現内容の拡散防止措置をとるとともに表現活動者の名前や名称を公表。被害者が訴訟を起こす場合、市が訴訟費用を貸し付けるなどの支援をすることも盛り込んだ。

一方、各地方議会でヘイト・スピーチ規制を国に求める意見書の採択が相次いでいる。その多くは、日本政府に法整備を求めた昨年8月の国連人種差別撤廃委員会の勧告や、京都朝鮮第一初級学校(現、京都朝鮮初級学校)への街宣活動を人種差別と認定した同12月の最高裁決定に触れ、国際社会の批判が高まっていると指摘。「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」によると、昨年12月までに東京都国立市、名古屋市、奈良県など24議会、さらに今年3月議会で約70議会が意見書を採択し、計100近い地方議会によるヘイト・スピーチ包囲網を形成している。

市民運動も監視を緩めていない。神奈川県川崎市の市民団体は、3月市議会でヘイト・スピーチ対策意見書の採択にただ一人反対した三宅隆介市議に公開質問状を出し、理由の説明を求めている。東京都にヘイト・スピーチ対策を求めて週1回の都庁前アピール(訴え)を実行してきた「差別反対東京アクション」は、3月都議会が何の対策も打ち出せないまま閉会したことを批判。

今後はアピール行動を不定期に開催し、より効果的で強力な運動をめざすことをホームページで宣言している。

(平野次郎・フリーライター、4月10日号)