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株主代表訴訟で東電の現・元取締役22人――政府事故調の調書開示「拒否」

東京電力の個人株主が現・元取締役に対し、福島第一原発事故で同社が被った5兆5045億円の損害を個人の財産で会社に賠償するよう求めた株主代表訴訟で、被告の取締役27人のうち22人が、政府の事故調査・検証委員会に聴取された調書の開示を拒んでいることが明らかになった。原告・株主側は「事故原因の解明を妨げる態度だ」と反発している。

原発事故への責任の度合いが比較的軽い22人を対象に、調書の開示に同意するか、聴取を受けていない人は事実関係の陳述書を提出すれば訴えを取り下げる、と原告が申し出たのは昨年9月。被告を勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長、小森明生元常務の5人に絞ることを想定。事実の究明と訴訟の迅速化が目的で、東京地裁も「検討の価値がある」と乗り気だったが、被告からは期限の2月末までに回答さえなかった。

これを受けて、3月19日の口頭弁論で主張の応酬があった。

「事故の真実を早く正確に知りたい。再度、調書の開示を要請する」

口火を切ったのは、原告弁護団長の河合弘之弁護士だった。すると被告側の弁護士が反応する。

「取締役の責任を立証するのはそちらの責任。法廷で証拠探しのようなことをされて、協力しないから遺憾と言われるのは心外だ」

これには原告側の海渡雄一弁護士が「証拠探し」の撤回を求めたうえで、「調書は国民の共有財産。より責任が重い取締役の追及に用いるためだ」と開示要求の正当性を強調。被告側は言葉の撤回には応じたが、「非開示を前提に聴取されたもの。法廷で認否や反論をするので、真実探求を妨げるわけではない」とさらに反論した。

河合氏が「調書を出せないのは重要な供述が入っているからと推測する」と改めて批判すると、大竹昭彦裁判長が「引き続き検討しましょう」と引き取った。

原告弁護団は、事故後の早い時期に聴取された政府事故調の記録は証拠価値が高いとみており、被告らの調書が裁判に出れば証人尋問の対象者を絞ることを検討するという。東電の津波対策担当者らの調書を提出するよう裁判所から政府に求めてもらう手続き(文書送付嘱託)も申し立てるなど、引き続き開示を強く求める方針だ。

(小石勝朗・ジャーナリスト、3月27日号)