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収容者1人がケガ、ハンストへ──牛久の入管施設で抗議行動を強制排除(片岡伸行)

抗議のハンストが続く牛久収容所(茨城県牛久市)の収容者が法務大臣などに宛てた「上申書」(部分)コピー。(撮影/片岡伸行)

抗議のハンストが続く牛久収容所(茨城県牛久市)の収容者が法務大臣などに宛てた「上申書」(部分)コピー。(撮影/片岡伸行)

茨城県牛久市にある法務省管轄の外国人収容施設、東日本入国管理センター(通称・牛久収容所、佐藤政文所長)で3月末から収容者の抗議行動が続いている。無抵抗で座り込みをしていた収容者を強制的に排除したセンター側の実力行使の際、収容されている日系ブラジル人男性が腕にケガをし治療を受けた。これを問題視した収容者は連名で文書を出し、被害者への謝罪を求めるとともに、抗議行動のきっかけとなった「仮放免認定」についても要望をしているが、センター側は事実上無視したままで4月6日時点で事態収拾の見通しは立っていない。

仮放免とは、一時的に収容を停止し、身柄の拘束を仮に解くという措置で、その申請手続きは出入国管理及び難民認定法第54条に定められている。

3月の「仮放免申請」の結果、同センターの「7Aブロック」の収容者のうち許可を受けたのが1人だけで、15人が不許可となったことから、収容者が疑問の声を上げた。同月27日、収容者は前日に続き不許可の理由などを同センターの処遇責任者に質したが、あいまいな返答しか得られなかったため、数十人の収容者が各自の部屋への入室を拒否。これに対しセンター側は午後5時15分ごろ、ヘルメットと防護服に身を固めた機動隊然の警備員約50人を投入し、無抵抗で座り込みをしていた収容者を力ずくで排除した。それがセンター側の“回答”だった。その際、前述した日系ブラジル人男性は右腕を強く引き上げられて負傷。4時間後に病院で診察を受け、「全治3週間」と診断されたという。

以上の事実経過について、4日後の3月31日にセンター側に電話で説明を求めると、当初は「なにかあったのですか?」(総務課)などとシラを切ったが、4月3日になって一部の事実を認めた。

法務大臣宛に「上申書」

7Aの収容者の国籍はイラン、タイ、ミャンマー(ビルマ)、スリランカ、フィリピンなどさまざまだが、長期にわたり日本に滞在し日本語の会話だけでなく読み書きが堪能な人も複数いる。今回の事態を受けて、そのうちの一人が法務大臣、人権擁護委員会、東日本入国管理センター所長、外国人支援団体などに宛てた4ページにわたる「上申書」を便箋に書き、3月30日にセンター側に提出した。上申書には21人が署名しており、前述の事実経過とともに「私たちの要望」と題した7項目を列記している。以下のとおりだ。

(1)仮放免申請者たちを仮放免認定すること(2)仮放免申請日から一定的な期間に結果を出してくれること(3)長期間収容させ、私たちの不満、不安、身体の悪化、精神的なみだれに対する責任を持つこと。病気の治療をちゃんとしてくれること(4)仮放免審査期間を短期間にすること(5)人権の侵害をしないこと(6)今回事件でケガされたブラジルの●●(原文は実名)に入国管理局の責任者から謝罪すること(7)今後●●(同)のケガが治るまで責任を持って治療させること――(丸数字をカッコ付き数字に変換、伏せ字以外は原文のまま)。

難民行政の闇

7Aの収容者はこの上申書を提出した翌日(3月31日)から「ハンガーストライキ」に入ることを通告し、ハンストは現在も続けられている。

東日本入国管理センターでは「食事を拒否している人はいる。上申書は受け取った」(総務課)ことを認めながらも、それ以外の事実関係については「答えられない」を連発。管轄の法務省入国管理局警備課も示し合わせたように同様の回答で、難民行政の高い壁の向こうに闇が広がっている。

牛久収容所ではこれまでも、昨年3月に収容者の男性が2人立て続けに病死する“事件”が起き、同9月にはトルコ国籍のクルド民族の人たちが抗議のハンガーストライキを敢行。長期収容され、心身の健康が損なわれている現状を「人権侵害」だとして抗議の声を上げた。外へ向けて「人権尊重」を謳う法務省管轄の施設内で、それとは逆の事態が頻発している。

(かたおか のぶゆき・編集部)

川内原発再稼働への工事計画、規制委が認可――“安全対策”後回しのズサンさ

山形浩史管理官の説明を聞く原子力規制委員ら。(撮影/まさのあつこ)

山形浩史管理官の説明を聞く原子力規制委員ら。(撮影/まさのあつこ)

原子力規制庁の山形浩史原子力規制部安全規制管理官は3月18日、川内原発1号機(九州電力)の工事計画認可申請書が、原子炉規制法に基づく3点(設置許可との整合性、原子炉と附属施設の技術基準への適合性など)をクリアしたと説明した。山形管理官は委員5人を前に資料49ページをわずか10分程度で説明。更田豊志委員が「3月16日になり、誤字脱字の補正申請があった」ことを問題にしたが、それも5分ほどで了承が得られた。傍聴席からは「再稼働反対」「透明性はどうするのか」と批判が上がった。

定例会見では「工事認可には審査会合もなく、長期にわたるので外から見て何をやっているのか非常に分かりにくい」などと複数の記者が問題視したが、田中俊一委員長は「専決で決めても多分、結果の報告はしてもらう。いつの間にか進んでいましたということはない」と回答した。

「専決」とは「原子力規制委員会行政文書管理要領」で定められる「専決処理」のことで、重要なものを除けば、工事計画認可は「安全規制管理官付」、つまり、山形管理官が誰とも合議せずに専ら決めてよいという規定である。2012年に原子力規制委員会が決定した規定だが、原発再稼働の手続きが非公開で行なわれるだけでなく、行政文書管理要領で定められていること自体がズサンと言える。

九州電力は翌19日に使用前検査の申請書を提出。8月までに発電所の総合的な性能を確認するという。しかし、同原発の正式な免震重要棟(法令上は「緊急時対策所」)は未完成だ。安全機能を有する主要設備を確認するのが使用前検査だが、田中委員長は筆者の質問に「今、作っています」、山形管理官は「計画している」と放言した。住民の避難計画もままならず、緊急時施設の安全さえ確保できていない状況で今回、原子力規制委員会はゴーサインを出した。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、3月27日号)