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原発事故を機に問い直す――40周年の入浜権宣言

2015年3月20日5:41PM

「古来、海は万民のものであり、海浜に出て散策し、景観を楽しみ、魚を釣り、泳ぎ、あるいは汐を汲み、流木を集め、貝を掘り、のりを摘むなど生活の糧を得ることは、地域住民の保有する法以前の権利であった……」

高度経済成長期終盤の1975年2月、海の埋め立て公害に反対する住民らが東京に集まって「入浜権宣言」を採択した。それから40年が経過した今年2月21日と22日、その意義を問い直そうと入浜権運動の発祥地である兵庫県高砂市で記念集会が開かれた。

同市の海岸は謡曲「高砂」に謡われ、白砂青松の地として知られた。だが60年代に海を埋め立てて工場群が進出し、コンクリート護岸で覆われた海岸線は住民が立ち入れなくなった。73年、PCB(ポリ塩化ビフェニル)や水銀の海域汚染に公害告発運動が起き、企業が海浜を占拠することへの疑問から、入浜権の思想が生まれた。

ただ、入浜権運動は公害反対運動の下火とともに休止状態になり、2010年には市総合計画基本構想からも入浜権の記述が消えた。宣言文の起草者で入浜権運動推進全国連絡会議代表を務めた高崎裕士さん(84歳)は運動継承の必要性を感じ、今回の集会を企画した。

集会では「宗教と環境」をテーマに早川和男・神戸大学名誉教授、岡田真美子・元兵庫県立大学教授(ビデオ参加)と高崎さんによるトークがあり、海浜はレクリエーションだけでなく、民俗行事や神事の場として住民の精神生活とかかわりが深く、信仰に由来する諸行事の発掘が入浜権の主張を補強したことなどが指摘された。また、辺野古新基地(沖縄県)の埋め立て土砂が瀬戸内から搬出される計画の報告もあり、最後は「福島第一原発の事故以来、環境問題は経済などのあらゆる局面を超えて第一に考えねばならない」との声明が採択された。

(平野次郎・フリーライター、3月6日号)

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