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政府案のNHK新経営委員、報道関係者は“ゼロ”――市民団体、籾井会長に辞任要求

2015年3月6日2:19PM

「放送の自主・自律を投げ捨てた」「政府の方針に順応することを明言した」などとして、NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ(以下、コミュニティ)、日本ジャーナリスト会議、放送を語る会の三つの市民団体は2月10日、籾井勝人・NHK会長に辞任を求めるとともに、会長に任命した経営委員会に対しては、罷免を求める申し入れ書を提出した。

籾井会長の“妄言”は昨年1月の就任以来、やむ気配がまったくない。今年2月5日の記者会見で、戦後70年を迎える今年、旧日本軍の「慰安婦」問題を取り上げた番組制作の有無について問われ、「正式に政府のスタンスが見えない。今取りあげるのは妥当か慎重に考えないといけない。夏にかけて政府のどういう方針が分かるのかがポイント」などと述べたという。

昨年1月の就任会見では国際放送に絡み「政府が右というものを左とは言えない」と発言。また、昨年12月の衆院選を前に、自民党の萩生田光一・筆頭副幹事長、福井照・報道局長の両衆院議員が連名で「選挙報道の公平中立などを求める要望書」をNHK、そして在京民放キー局に送りつけた。籾井会長は記者懇談の場で、本件の内容を支持する考えを示すなど、NHKの「国営放送」化を目指すかのような発言も繰り返している。政府の政策を監視する役割を求められる報道機関の姿勢とは、相容れないジャーナリズム観であることは明らかだ。

10日の申し入れの中でコミュニティは、経営委員会の責任を重視し、浜田健一郎経営委員長に対して、会長罷免ができない場合の委員長の辞任要求にまで踏み込んだ。共同代表の醍醐聰・東京大学名誉教授は「浜田委員長は国会で監督責任を果たすと何度も答弁しながらまったく履行していない」と指摘する。

一方、政府は2月で任期満了を迎える経営委員の百田尚樹氏の後任に阪神高速道路会長の森下俊三氏とするほか、新任の井伊雅子氏(一橋大学国際・公共政策大学院教授)、佐藤友美子氏(追手門学院大学学長直属特別任用教授)の3人を含む計4人の人事案を国会に提出した。人事案が可決されれば、新経営委員会は12人全員が、メディア関係の出身者以外で占められることになる。

(臺宏士・ライター、2月20日号)

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