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政治家参拝、改憲促す政治団体、排他主義の市民団体…… “政教癒着”象徴する靖国

2014年9月5日6:44PM

靖国・九段下交差点の付近で厳重警備にあたる機動隊。(撮影/兼子草平)

靖国・九段下交差点の付近で厳重警備にあたる機動隊。(撮影/兼子草平)

昭和天皇の玉音放送から69年の8月15日、東京・千代田区の日本武道館では政府主催の全国戦没者追悼式が開催された。遺族や安倍晋三首相ら政府関係者、各界の代表など約6000人が参列したという――隣接する「靖国神社」には約17万人が訪れた。社務所広報課は「昨年比で約5000人の減少」と話すが、それでも多い。

閣僚は新藤義孝総務相、古屋圭司国家公安委員長、稲田朋美行政改革担当相の3人が参拝し、安倍首相は萩生田光一自民党総裁特別補佐を通じて、「自民党総裁」名義の玉串料を私費で納めた。

超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長=尾辻秀久・参議院議員)では、高市早苗自民党政調会長や岸信夫外務副大臣、西川京子文部科学副大臣ら約80人が参加。小泉進次郎内閣府大臣政務官らも参拝した。

靖国周辺では複数の“市民団体”が政治的主張を旨とするビラ配りなどを実施。第一鳥居前では新しい歴史教科書をつくる会が「『河野談話』撤廃署名」を呼びかけた。日本会議は第二鳥居前で、「憲法改正の実現を」とするのぼりを掲げ署名を促す。「今日は20代のメンバーが多く参加しています。僕は大学生」と会員の一人は語る。

軍歌を歌う珍しい20代の3人組がいた。男性が着る軍服は遺品らしい。「ちゃんと予習しないと歌えません(笑)」と無邪気だ。

午後3時、九段下交差点に無数の市民と警視庁機動隊が集った。

在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)が、およそ10団体からなる反天連(安倍戦争国家の「追悼」を許さない! 反「靖国」行動実行委員会)のデモ行進を妨害するという。デモの参加者(約200人)に対して、在特会関係者は倍以上、機動隊の動員数は未発表だが、紺色のヘルメットが約3時間、公道を支配した。

在特会の桜井誠会長は天皇を「国家元首」と位置づけ、これを批判・否定する人々は「殺されて当たり前」と放言し、「靖国神社に眠る英霊たちは日本の未来を信じて死んでいった」「未来のために戦いなさい!」などと聴衆を煽った。

「信教の自由」を盾に憲法の規定する「政教分離」を揺るがし、「基本的人権」さえも脅かす――今年8月15日も、靖国は喧騒に満ちていた。

(内原英聡・編集部、兼子草平・フリーター、8月22日号)

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