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増えるギャンブル依存症――予防策の必要性訴え

2014年8月29日5:54PM

安倍政権の推進する「カジノ法案(統合型リゾート推進法案)」が秋の国会で本格審議されようとしている中、「ギャンブル依存症問題を考える会」の設立記念フォーラムが8月3日、東京・目黒区内で開かれ、学校や企業での予防教育の必要性を訴えた。

競輪、競馬、競艇などの公営ギャンブルや風俗営業としてのパチンコなど「ギャンブル大国」と言われる日本は、同時に「ギャンブル依存症大国」でもある。2009年の厚生労働省の調査によると、ギャンブル依存症の生涯有病率は米国1・4%、英国0・8%、スウェーデン1・2%に対し、日本は男性9・6%、女性1・6%と異常に高くなっているのが現状だ。

フォーラムでは、今年2月に発足した「考える会」の田中紀子代表が会の活動方針と内容を報告。「ギャンブル依存症はWHO(世界保健機関)でも認められている病気で、10人に1人ほどが発症。脳内の神経伝達物質ドーパミンが関わっているとされます」と定義し、「ギャンブル依存症はその人と家族の人生を狂わせるだけでなく、社会的な損失を生む」と指摘。「ベネッセの情報を流出させた派遣社員もパチンコで借金があったとされ、ベネッセに200億円という巨額の損害を与えた。大王製紙や伊藤忠商事などギャンブルでの借金をめぐる事件は後を絶たない」とし、「カジノを導入するというなら、アルコールやタバコ、薬物のように学校での予防教育や職場での従業員教育など依存症対策制度の導入が必要」と訴えた。

基調講演では筑波大学の森田展彰准教授(精神保健学)が、不利益になるとわかりながらも自らコントロールし止めることのできないアディクション(嗜癖)について解説。「依存症は病気だとの観点が必要で、道徳や罰則を持ち出してもダメ」とし、その特徴や職場での対応などを説明した。

(片岡伸行・編集部、8月8日号)

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