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香港で民主派が大規模なデモ――「普通選挙」めぐり対立激化

2014年7月23日6:13PM

返還から17年の7月1日、香港ではデモに参加した多くの市民がビクトリア公園を埋めた。(撮影/楢橋里彩)

返還から17年の7月1日、香港ではデモに参加した多くの市民がビクトリア公園を埋めた。(撮影/楢橋里彩)

「2017年には真の普通選挙を! 民主化を!」――主催者発表51万人(警察発表9万8600人)の大規模なデモが、英国から返還されて17周年となる7月1日、香港で繰り広げられた。最大のビジネス街である中環(セントラル)地区では500人超が当局に拘束され、4日には5人が逮捕される事態に。

摂氏30度を超える猛暑の中、ビクトリア公園には民主派とつながりのある団体を中心に多くの市民が結集。「将来、香港が完全に中国化し自由がなくなるのでは」と不安を口にする若者が多かった。

1997年の返還後も「50年間は社会制度を変更しない」とする「一国二制度」を敷いている香港だが、中国政府が6月10日に発表した初めての『一国二制度白書』では香港への管轄統治権を強める姿勢を示した。また、香港のトップを決める17年の行政長官選挙でも、民主派が「立候補の自由」を求めているのに対し、中国は従来通りの「候補者の事前審査」(つまりは、反中国派の立候補の排除)が必要だとしている。

こうした「白書」の内容が「反中」感情をより高める要因になっており、参加者も過去10年で最多に膨らんだ。中国の経済的、政治的な影響力が広がる中、香港では「自由と民主」「香港人というアイデンティティ」を守る動きがいっそう強まっているようだ。

一方、特別行政区政府側は「民主派の望む選挙制度改革は受け入れられない」との姿勢を変えていないが、選挙制度については「中央政府との間で改革案をまとめていく」とする。これに対し、民主派の大学生らは17年の選挙で立候補の制限をやめない限り、「セントラル地区を占拠する」と警告しており、年内にもまとめられるとされる選挙制度改革案をめぐり、対立はより深まる可能性がある。

(楢橋里彩・香港在住ジャーナリスト、7月11日号)

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