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サメのヒレだけ切って捨てるフィニング――英系企業が残酷な漁法に反対

2014年6月20日5:14PM

フカヒレとして食すヒレ部分だけを切り取られ、海洋に投棄されたサメ。(C)SHARK SAVERS

フカヒレとして食すヒレ部分だけを切り取られ、海洋に投棄されたサメ。(C)SHARK SAVERS

高級食材フカヒレとなるサメのヒレだけを切り取り、胴体は海に捨てる残酷な漁法「フィニング」。これに対し、英国のハンドメイドコスメ「LUSH」を販売するラッシュジャパン(本社・神奈川県)が、「残酷なフィニング反対キャンペーン」を展開している。

フィニングはなぜ起きるのか。海洋生態系に詳しい環境保護NGOグリーンピース・ジャパンの花岡和佳男さんはこう話す。「フィニングは、マグロはえ縄漁を主とする遠洋漁業で横行してきました。なるべく船の冷凍庫をマグロでいっぱいにしたいので、サメがかかると、ヒレだけ切ってあまりお金にならない胴体を捨てるんです」。

現在も、インドネシアや台湾、中国などではフィニングが行なわれているという。一方、日本や米国の一部の州、EUなど99カ国ではフィニングが禁止されている。日本では、米国ホテル大手のヒルトンが、ヒルトン東京(東京・新宿)をはじめ日本の系列10ホテルで、4月からフカヒレの提供をやめる動きもあった。フカヒレ目当てのサメ乱獲を防ぐ目的だ。

サメについての情報サイト「ノーフィニング実行委員会」によると、世界には約500種類のサメが生息する。一般的に成魚になる期間や、妊娠期間が長いのが特徴。卵も少なく、1~2年おきにのみ繁殖する種もいるため、サメは乱獲に弱いという。IUCN(国際自然保護連合)の発表では、世界のサメの約3割は絶滅危惧種または準絶滅危惧種に分類される。

ラッシュは、「日本国内ではフィニングが禁止されていますが、消費者として世界でフィニングが行なわれている事実を知ってほしい。フカヒレを前にしたとき、それがフィニングされたものであるか確認したりしてほしい」とした。

日本では宮城県気仙沼市がサメの水揚げ量トップだが、身も肉もすべて使い、持続可能な漁業を念頭に置いたサメ漁を行なっている。

(渡部睦美・編集部、6月6日号)

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