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原電が東海第二原発の適合審査――住民説明なく申請

審査申請したことを語る増田博原電副社長。原子力規制委会見室。(撮影/中村ゆうき)

審査申請したことを語る増田博原電副社長。原子力規制委会見室。(撮影/中村ゆうき)

東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に向け、日本原子力発電株式会社(原電)は5月20日、原子力規制委員会に適合審査を申請した。増田博副社長は会見で「全社をあげて審査に対応していきたい」としたが、課題は山積する。

改正原子炉等規制法で定められる原発の運転期間は原則40年。東海第二は36年が経過しており、申請中の原発では最古だ。新規制基準の対策工事終了も最短で2016年6月とされるが、運転の期間延長について増田副社長は「答える段階にない」とのみ言及する。

電気ケーブルは新基準で火災対策が義務づけられる。だが、同社の構想は難燃性ケーブルとの取り替えではなく、耐火材カバー取り付けや防火塗料の塗布にとどまる。

首都圏唯一の同原発で事故が発生した場合、周囲30キロメートルの避難対象者は98万人にのぼる。しかし、具体的な避難計画も自治体側は整備できていない。

原電は電力9社が出資する原発専門の発電会社で、各地に4基を所有する。敦賀原発(福井県)は1号機が40年を超えており、同2号機は直下に活断層の存在が判明。東海原発(東海村)も廃炉作業を進めている。原電にとって東海第二は何としても再稼働したい原発といえるが、その取り組みには現地内外からの反発がある。

原電と地元11市町村首長は今年3月5日、異例の「覚書」を締結した。ここでは「原電の考え方を誠意をもって十分に説明する」との項目も盛り込まれたが、増田副社長は会見で、「効率的な情報公開の一環としてこれから考えていく」とのみ言及。4月25日も脱原発を訴える市民グループが事前に説明会を開催するよう山本直人常務取締役へ申し入れているが、これも反映はされていない。

5月20日当日は、「地元の危機感が伝わっていない」として、同本社ビル(千代田区)の前で市民による抗議行動が行なわれた。

(中村ゆうき・フリーライター、5月30日号)

 

各地で続け、第四次厚木基地爆音訴訟判決――自衛隊機の夜間飛行を差止め

判決を伝える原告・支援者ら。(提供/金子豊貴男)

判決を伝える原告・支援者ら。(提供/金子豊貴男)

第四次厚木基地爆音訴訟で横浜地裁(佐村浩之裁判長)は5月21日、全国の軍用機騒音被害を巡り過去約40年間で提起された訴訟で初めて、「自衛隊機の夜間飛行差止め」を命ずる判決を出した。

厚木基地は神奈川県の県央部、大和市と綾瀬市にまたがる米海軍の飛行場だ。横須賀に入港する原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機の地上基地として、また、海上自衛隊の対潜m戒機の基地として、年間3万回以上の離発着訓練が行なわれ、240万人といわれる周辺住民が長期間、騒音被害に悩まされ続けている。1993年の初提訴から4回目の本訴訟は、6993人の原告が2007年12月、損害賠償などの民事訴訟と米軍機・自衛隊機の飛行差止めの行政訴訟として提起した。

佐村裁判長は判決で「住民は健康被害に結び付く、睡眠妨害や生活妨害、精神的苦痛など、深刻な航空機騒音の被害を受けている」と認定、防衛相がやむを得ないと認める場合を除き、午後10時から翌日午前6時までの自衛隊機の運航を差し止めるよう命じた。

一方、米軍機については「国が米国に対し、基地の使用を許可するといった行政処分は存在しない」などとして訴えを却下。損害賠償額は「うるささ指数」に応じて月4000円から2万円を認定、三十余年不変の賠償額を引き上げた。

自衛隊機の夜間の飛行差し止めを認めたことは嘉手納、普天間、岩国、小松、横田での爆音訴訟にも大きく影響する画期的な内容で、防衛省内には動揺が広がったという。翌22日付の『毎日』『東京』『神奈川』などの新聞各紙は「国は住民の声に真摯に耳を傾けねばならない」(『朝日』社説)と判決を評価したが、一方で、「飛行差し止めの影響が心配」(23日付『読売』社説)、「抑止力損なう判断疑問」(24日付『産経』社説)と批判するものもあった。原告団、被告・国ともに控訴する。

(金子豊貴男・同訴訟団副団長、5月30日号)