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世界禁煙デーを前に――タバコ農場の児童労働で報告書

タバコ農場で働く15歳の少女。米国ノースカロライナ州。(©2013 Human Rights Watch)

タバコ農場で働く15歳の少女。米国ノースカロライナ州。(©2013 Human Rights Watch)

“メイド・ウィズ・児童労働”――。そんなタバコが日本で販売されている。国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク、以下、HRW)は5月14日、米国の葉タバコ農場で子どもがニコチンの暴露被害にあうなど、有害で危険な労働に従事する実態を報告書として発表した。

JT(日本たばこ産業)の葉タバコ買い付け先の一つである米国でHRWは、タバコ農場で働く7歳から17歳の141人を対象に聞き取り調査を実施。内訳では、ヒスパニック系が目立ち、多くが家計を助けるために働いている。

子どもたちは嘔吐、吐き気、頭痛、めまいなどを作業中に感じると口々に訴えており、いずれの症状も重篤なニコチン中毒と一致。さらに、残業手当がなく、炎天下で長時間作業させられるケースも多い。ケンタッキー州のある少女(16歳)は、「吐き気を感じるの……。刈り入れをしているその場で吐いてしまうのですが、手を休めるわけにいきません」と証言する。

栽培で使われる農薬の多くは神経毒に該当。長期的な農薬暴露により、がんの発症や認知・学習面での支障、生殖機能の不調など数多くのリスクを抱える。米国では毎年数十万人もの未成年が農業分野で働くが、親の承諾があれば農場側は12歳でも公教育の課外時間に雇うことができる仕組みだ。しかもその就業時間に上限はない。

その児童労働で利益をあげるタバコ企業も責任は重い。HRWは、米国から葉タバコを購入するJTなど世界の主要企業10社に対し、対応改善を求めてきた。

JTは安全面と健康上の懸念が残る作業すべてにおいて、子どもの重労働を禁じ、これを徹底するための効果的モニタリング体制も構築すべきだ。5月31日は世界禁煙デー。喫煙のみならず、タバコ農場でニコチンに暴露される子どもの保護も喫緊の課題だ。

(土井香苗・ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表/弁護士、5月30日号)