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原発事故による避難住宅の窮状――期限迫る無償支援の延長を

2014年6月5日6:03PM

生活の実情にあった住宅支援を訴える避難者ら。(撮影/満田夏花)

生活の実情にあった住宅支援を訴える避難者ら。(撮影/満田夏花)

「1年先の住居がどうなっているのかもわからないのに、生活の再建などありえない!」

東日本大震災および原発事故による避難者が利用する住宅の無償支援の期限が来年3月に迫る中、全国の避難者と支援者らが5月14日、住宅支援の期限延長と恒久的な対策を求め、東京・永田町の参議院議員会館で集会を開いた。

避難者の多くは現在、災害救助法に基づく借上げ住宅制度を利用している。公営住宅や民間住宅を「仮設住宅」とみなした上で、避難先の都道府県が借上げし、避難者に提供する制度だ。費用は国と避難元の自治体が負担するが、期限は来年の3月まで。

「悩んだすえ子どものためにと避難を決意した。いままでの生活を失ってしまったのに、避難先の住宅まで奪われてしまうのか」と訴えるのは、新潟県に避難している磯貝潤子さん。東京に避難する鴨下祐也さん(ひなん生活を守る会代表)は、「住宅の無償支援が打ち切られて困窮する避難者は、帰還せざるをえない」と語る。

避難者からはこのほか、「自主的避難のため肩身狭く暮らしている」「避難してから結婚・出産したが、単身用の住居に3人で暮らしている」といった状況の説明もあった。

兵庫県の三木市では避難者向けに5年間の住宅無償供与を独自に決めているが、こうした自治体の対応も地区ごとにばらつきがある。

借上げ住宅制度は当初の2年間を過ぎると毎年、延長について国(内閣府被災者支援担当)が避難元自治体と協議する。ただし、延長の可否が避難者に通知されるのは数カ月前のこともあり、先の見通しがたたない状況が続く。

「国は制度の見直しを早急に行なうべき」と話すのは津久井進弁護士。「現行制度でも、自治体による独自の支援が可能」と言う。住宅支援は避難者の当然の権利であり、生活もかかっている。今後の国・自治体の対応が注目される。

(満田夏花・FoE Japan、5月23日号)

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