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滋賀県知事後継に三日月氏指名――脱原発首長が不出馬

2014年5月28日5:02PM

三日月氏の出馬会見に駆け付けた“脱原発首長”嘉田由紀子滋賀県知事(左)。(撮影/横田一)

三日月氏の出馬会見に駆け付けた“脱原発首長”嘉田由紀子滋賀県知事(左)。(撮影/横田一)

関西電力「大飯原発」(福井県)再稼働に反対するなど“脱原発首長”の代表的存在である嘉田由紀子滋賀県知事が5月7日、7月13日投開票の県知事選に出馬しないことを表明した。「再稼働に反対し琵琶湖を放射能汚染から守ってほしい」と三選出馬を求める声が寄せられていたが、嘉田知事は若い世代に委ねる決断をしたのだ。

進退表明の会見には、嘉田知事が事実上の後継指名をした民主党の三日月大造・衆院議員も同席。嘉田知事は不出馬の理由として、ダムに頼らない治水政策が可能となる全国初の「流域治水条例」が成立したこと、知事と三日月氏が共同代表の政策集団「チームしが」が設立される見通しが立ったこと、そして原発政策についても三日月氏と合意ができたことを挙げた。

これを受けて三日月氏は9日、立候補を正式表明。「嘉田知事が培った『草の根自治』を発展させたい。“卒原発”などの原発政策も引き継ぐ」などと訴えた。会見には嘉田知事が駆け付け、途中から三日月氏と並んで質疑応答をするなど全面支援の姿勢を印象づけた。

両者は、再稼働に突き進む安倍政権との対決姿勢も鮮明にした。安倍政権は「世界最高水準の原子力規制委員会の審査基準をクリアすれば、再稼働を認める」という立場だが、これに対し嘉田知事と三日月氏は「プラントの安全審査中心でメルトダウンを前提としたコアキャッチャーもなく、原発事故の際の避難計画策定も再稼働の必要条件になっていない」と不十分さを指摘。その上で、「再稼働には立地自治体に限らず、原発事故の影響が及びうる“被害地元”(周辺自治体)の同意を求める」ことが卒原発政策の核心部分と強調した。

知事選は、嘉田知事の進退表明前からすでに立候補を表明していた経産省OBで原子力ムラの“代表選手”といえる小鑓隆史氏(自民党)と、“脱原発知事の後継者”との一大決戦となるのは確実だ。

(横田一・ジャーナリスト、5月16日号)

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