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洋上被曝の原子力空母への交代――市民団体が強く抗議

2014年2月19日6:27PM

 東京都知事選で「脱原発」を連呼する小泉純一郎元首相だが、その出身地・神奈川県横須賀市で、原子力空母をめぐる問題が起きている。発端は、米海軍横須賀基地に配備する原子力空母ジョージ・ワシントンを、同じ原子力空母ロナルド・レーガンに来年にも交代させると、在日米海軍司令部が一方的に発表したこと(1月15日)。地元の市民団体は「レーガンは『トモダチ作戦』で洋上被曝し、訴訟に発展している問題の空母。地元への説明・同意なしの発表も許されない」と抗議している。

「原子力空母の母港化を阻止する三浦半島連絡会」によると、「3・11」後の米国による支援として喧伝された「トモダチ作戦」だが、東京電力や日本政府の誤った情報で洋上被曝し健康を害したとし、米国では当時の乗組員が損害賠償を求める訴訟を提起。8人で提訴した訴訟は昨年3月に126人もの集団訴訟に発展している。原告らは甲状腺の異常や腸からの出血などの症状を訴えているという。

 その原子力空母レーガンへの交代を一方的に発表すること自体が「国民、市民無視だ」とコメントを出したのは「原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会」。日本国内で現在稼働中の原子炉は横須賀の原子力空母と原子力潜水艦のみ。横須賀出身の小泉元首相さえ「原発ゼロ」を求めている中、洋上被曝で訴訟中の問題の空母を配備することは「原発ゼロ」を求める多くの国民への「挑戦」であり、「いまだ継続する被曝の影響、リスクを、基地従業員や周辺の住民が被ることを意味する」と指摘。共同代表で弁護士の呉東正彦さんは「横須賀市民の住民投票によって民意を問う取り組みを検討していきたい」と話す。

(片岡伸行・編集部、2月7日号)

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