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またも流れた朝鮮総聯の競売――今度は文書が虚偽?

2014年2月12日6:16PM

 朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)中央本部(東京都千代田区)の競売に関し、東京地裁は1月23日、昨年10月17日の2回目の競売で50億1000万円という最高額で落札したモンゴルの企業、アヴァール・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー(以下、ア社)への売却不許可を決定した。昨年3月の1回目に続き、またも売却は流れた。

 ア社の資金能力については昨年の落札時から疑惑が浮上。マスコミは企業実績のないペーパーカンパニー説を流していた。本誌も1月10日号(「朝鮮総聯落札の50億円は日本の資金か?」)で、ア社のきわめて不可解な資金背景について現地情報を伝えた。ところが東京地裁がア社を不適格者として決定した直接の理由は1月3日付モンゴル政府からの回答が、ア社の資金背景ではなく入札参加時に提出した文書そのものを虚偽と判断したためだった。

 中でも決定的に疑われたのがア社の「代表者の資格を証する文書」。同文書は日本でいえば法務省が発行する法人登記の謄本にあたるものだが、ア社が提出したカラーの文書は公印もないコピーだった。その結論は「モンゴル政府が発行したものではない」というのだ。

 ア社は東京地裁の決定に対して1週間以内に不服申し立てができるが、たとえ申し立てしたとしても許可は得られないだろう。

 それにしても朝鮮総聯の競売では不可解なことがつきまとう。1回目は不透明な資金調達方法が原因であったし、2回目は公文書の偽装らしき行為が原因だった。これまでの入札の推移をみた事情通は「3回目の入札価格は15億円ほどに下がるだろう。そうでないと瑕疵物件として誰も参加しない」と指摘した。つまり政治的利権の不透明さがつきまとう入札ではなく明確な商業行為としての入札行為にしか(落札という)結果はでないというわけだ。 

(成田俊一・ジャーナリスト、1月31日号)

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