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静岡で冤罪支援集会に350人結集――袴田事件、再審への期待高まる

2014年2月4日6:33PM

参加者でぎっしりと埋まり、支援集会は熱気に包まれた。(撮影/山口裕朗)

参加者でぎっしりと埋まり、支援集会は熱気に包まれた。(撮影/山口裕朗)

 1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」で、無実を訴え続ける元プロボクサー袴田巖死刑囚(77歳)の「即時再審開始を求める全国集会」が1月13日、静岡市で開かれた。第二次再審請求は昨年12月に静岡地裁で結審し、3月にも決定が出る見通し。地方での冤罪支援集会としては異例の約350人が参加した。

 弁護団の西嶋勝彦団長が再審請求審の経過を報告。地裁の勧告で検察が調書など約600点の証拠を開示し新事実が判明したことを紹介した上で「裁判官がある程度(こちらに有利な)心証を持っていると確認できたので、この段階での結審に応じた」と明かした。

 争点は、事件の1年2カ月後に味噌タンクから発見され、判決が犯行着衣と認定した「5点の衣類」が本当に袴田死刑囚のものか。

 再審請求審では、シャツに付着し袴田死刑囚のものとされた血痕のDNA鑑定が実施され、本人の型とは一致しないとの結果が出た。装着実験で袴田死刑囚には小さくてはけなかったズボンについては、「大きいサイズが味噌に浸かって縮んだ」と判断される根拠となったタグの「B」が実は色を示しており、捜査側は発見直後からそれを知っていたことがわかった。

 これらを踏まえ西嶋氏は「5点の衣類には第三者が作為を加えた疑いがあり、もはや証拠としての価値は認められない」と強調した。

 ちなみに検察は、(1)DNA鑑定には血痕の経年劣化の影響があり信用性はない、(2)ズボンをはけなかったのは体型の変化が原因、などと請求棄却を主張している。

 集会では、死刑が確定した後に再審で無罪判決を受けた免田事件の免田栄さんと島田事件の赤堀政夫さんらが激励のあいさつ。袴田死刑囚の姉の秀子さん(80歳)が「こんなにたくさんの方が集まってくれたのは初めて。巖にこの状況を知らせたい」と謝辞を述べると大きな拍手が送られた。

(小石勝朗・ジャーナリスト、1月24日号)

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