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「がれき裁判」の不当判決に支援者ら抗議――大阪市民二人に有罪判決

2013年12月24日3:04PM

大阪地裁の正面玄関で、有罪判決に抗議する支援者ら。(撮影/真野きみえ)

大阪地裁の正面玄関で、有罪判決に抗議する支援者ら。(撮影/真野きみえ)

 大阪市の震災がれき処理住民説明会(二〇一二年一一月)の会場で抗議した市民二人が、建造物侵入の容疑で逮捕された裁判の判決が一一月二八日、大阪地方裁判所(長井秀典裁判長)であり、Pさん、Uさんの二人に懲役八カ月、執行猶予二年の有罪判決が下された。Pさんは未決算入五〇日、Uさんは一四〇日がつく。法廷にいた支援者からは「不当判決ではないか」と声があがり、閉廷後も正面玄関でシュプレヒコールが続いた。Pさんは即日控訴した。

 二人は一年前、大阪市主催の住民説明会会場で逮捕され、その後、容疑を威力業務妨害に切り替えられ起訴された。同説明会は、参加者が大阪市民に限定され、危惧する近隣住民や安全性の説明を求める反対派を排除して行なわれた。担当弁護士の一人、位田浩弁護士は「大阪市による説明会の問題性を立証し、抗議の正当性を主眼においたが、裁判所はそこに触れなかった」とする。

 Pさんは「私たちが抗議に至った背景がバッサリ切り捨てられた」と悔しさを滲ませた。Uさんは「また別の闘う現場で皆さんと繋がりたい」としながらも、かりに今後逮捕されれば、執行猶予二年に加え未決算入の一四〇日がつく点を、実刑を上回る重さと捉えている。

 ただ、自身も懲役一年、執行猶予三年とされた東京の市民運動家、園良太さんは、「裁判は権力の土俵の中での闘い。だからこそ、その外に出てのデモやアピールが重要になる。福岡では脱原発派の市民に求刑通り一年六カ月の有罪。大阪の量刑がやや軽いのは、関西の衰えない救援活動が権力への圧力となっている」との見解を示した。

 自民党は特定秘密保護法案を強行採決し、「共謀罪」を来年の通常国会に提出する構えだ。市民運動への影響が懸念される中、運動で勝ち取るものがあることを再認識したい。

(真野きみえ・ライター、12月6日号)

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