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裏切りとウソにまみれた伊方原発の再稼働は許されない(伊田浩之)

パレードには、全国の原発現地で反対を続けている人たちが数多く参加、再稼働反対を訴えた。

パレードには、全国の原発現地で反対を続けている人たちが数多く参加、再稼働反対を訴えた。

国内すべての原発が止まってから約2カ月半。最初の再稼働候補とされる四国電力伊方原発の地元、愛媛県松山市で12月1日、「NO NUKES えひめ~福島を忘れない!再稼働させない!」(伊方原発をとめる会主催)が開かれ、海外を含め全国から集まった約8000人(主催者発表)が再稼働反対を訴えた。

時雨が混じるあいにくの天候だったが帰る人はほとんどいない。左は山本太郎参議院議員。

時雨が混じるあいにくの天候だったが帰る人はほとんどいない。左は山本太郎参議院議員。

 伊方原発から約一〇キロメートルに暮らし、約四〇年間反対運動を続けてきた斉間淳子さん(八幡浜・原発から子どもを守る女の会)は壇上からこう訴えた。

「一〇月二六日に伊方原発を現地調査した原子力規制委員会の更田豊志委員は『とても優秀な原発です、トップバッターです』とコメントした。でもどれほど対策をしようと原発が安全でないことは福島が教えてくれました。伊方の裁判で指摘した原発の危険性は、福島ですべて現実となってしまった。あれは本当に人災です。私は命つきるまで原発反対の声を上げる」

 ルポライターの鎌田慧さんは、四国電力に騙されたことを気に病んで一九七三年、自宅納屋で首を吊って自殺した井田キクノさん(当時七二歳)のことを紹介、「裏切りとウソとそれによる犠牲者をつくりだして伊方原発は始まった。原発は人々を弾圧し、地域社会を分断する」と再稼働を批判した。

城山公園で開かれた集会では三宅洋平さんらの演奏もあり、終始なごやかな雰囲気だった。

城山公園で開かれた集会では三宅洋平さんらの演奏もあり、終始なごやかな雰囲気だった。

 集会では、日本最大規模の活断層である中央構造線から約六キロメートルという至近距離にある伊方をはじめとする、すべての原発の再稼働に反対する決議を採択。小雨が降るなか、二コースに分かれて松山市内をパレードした。                 

(いだ ひろゆき・編集部、12月6日号)

Tシャツ文字で高裁が入庁拒否――被告を排除し判決

 廷吏の言葉に筆者は耳を疑った。一一月一九日午後三時。東京高裁四二九号法廷は、路上生活者排除に抗議したことで威力業務妨害罪に問われた園良太氏の控訴審を控えていた。傍聴席は三七。まだ一〇席ほどしか埋まっていなかった。傍聴希望者は五〇人以上いたので抽選が行なわれ、当選者に傍聴券が配られた。だから空席があるはずはない。法廷内にいるべき被告人・園氏の姿もなかった。

「傍聴させろ!」。当選券を掲げて抗議する被告本人と支持者ら。(撮影/片岡伸行・編集部)

「傍聴させろ!」。当選券を掲げて抗議する被告本人と支持者ら。(撮影/片岡伸行・編集部)

 ガラガラの法廷に制服の警備員が七人。法廷外にはおよそ三〇人もの警備員や裁判所職員がいた。ロビーには物陰に潜むような仕草の私服警官もいる。

 なぜ開廷なのか。傍聴人の戸惑いをよそに、八木正一裁判長(陪席裁判官は川本清厳・佐藤正信の各氏)は「時間ですので」と小声で開廷を告げ、「控訴棄却。懲役一年執行猶予三年」の有罪判決を読み上げた。東京都江東区役所の暴力的な野宿生活者排除に対し、同区役所に抗議を申し入れようとした行為が「威力業務妨害」にあたるという、戦後の司法試験に受かったとは思えない乱暴な判決だ。

 傍聴席がガラガラだったわけは閉廷後に判明した。園氏や傍聴券当選者らが着ていたTシャツに、一文字四センチ角ほどの大きさで「YES! 抗議 NO! 排除」とあった。それが「メッセージ」にあたるとして入庁を拒否され、自らの判決を聞く機会も奪われたのだ。多数の警備員が「人間の壁」をつくり、敷地に一歩も入れなかった。庁舎管理権者である渡部勇次東京高裁事務局長の判断だ。

 問題のシャツの柄は地味なもので、「これがダメなら“スカッと爽やかコカ・コーラ”もだめなんですか」と抽選にハズれた傍聴希望者は失笑した。衣服の柄で入庁拒否というのは前代未聞。数十人の公安警察官に見守られ、園氏らは傍聴券を掲げて「傍聴させろ」というしごく当然の権利を訴えた。

(三宅勝久・ジャーナリスト、11月29日号)

山本太郎議員への安倍首相の答弁書で発覚――秘密を53もの機関が保有?

二日夜、参議院議員会館前で開かれた秘密保護法反対集会。(撮影/成澤宗男・編集部)

二日夜、参議院議員会館前で開かれた秘密保護法反対集会。(撮影/成澤宗男・編集部)

 山本太郎参議院議員が一一月一二日付で提出した特定秘密の保護に関する法律案(以下、秘密保護法案)に関する質問主意書に対する答弁書で、安倍晋三首相は秘密指定を行なう行政機関の長について、五三もの機関名を挙げてきた。その中には外交や防衛等に関する秘密にほど遠いような機関(文化庁や公害等調整委員会、中央労働委員会、郵政民営化推進本部等)も多数ある。

 呆れたのは、答弁された「特定秘密を指定し」「(特定秘密の取扱いを業務とする者に)適性評価を実施する」行政機関の長があるものとして、今年八月に廃止された社会保障制度改革国民会議が挙げられていたことだ。答弁書のチェックを担当した内閣法制局と内閣情報調査室は、すでに誤りを認め陳謝したというが、ことはそれだけで済むものではない。全閣僚が確認のうえ、内閣総理大臣名で出される閣議決定文書が質問主意書に対する答弁書なのだ。

 まして社会保障制度改革国民会議は委員を首相自らが任命したもので、首相官邸に直属する行政機関だ。首相宛に答申書を出して任務を終えたことで八月二一日に廃止された。今回の誤りは、安倍首相自身がいかに答弁書を丹念に検討していないかを白日の下にさらすものとなった。

 答弁書を受け取った山本太郎議員は、「すでに存在しない機関が答弁されて、驚いています。答弁書は内閣法制局が細部までチェックしてから閣議決定されると聞くが、チェック機能が働かなかったとしか言いようがない。ずいぶんずさんな話で、人権制限をともなう法案の審議がまともにできているとは思えません。内閣法制局長、さらに総理大臣自身の責任も問う再度の質問主意書を提出しました」と述べている。

 誤答弁に反映されたのは、審議の不徹底にとどまるものではなく、法案そのものがきわめて不十分な検討しかされていないことをも示している。そもそも、法案の構造が自衛隊法第九六条の二(防衛秘密)と第一二二条で規定された防衛秘密を漏らした場合の罰則についての取り決め、同法別表第四(第九六条の二関係)で規定された防衛秘密の指定に関する項目を別途の法律とし、刑罰を重くしたものにすぎない。

 自衛隊法の一部分を拡大して行政機関のほとんどを拘束する法規にするものだが、その具体的あり方、問題点がまったく明らかにされていない。よりわかりやすく言うなら、自衛隊のみに適用されていた「防衛秘密」の保全とそのための「罰則」システムを行政全体に押し広げることによって生じる具体的な問題、矛盾点の検討がほとんどされた形跡がないのだ。

 答弁書が示した五三の行政機関の大部分が、身近な公共事業に関わっている。これらに適切な予算執行がされているか、官製談合などがないかについて市民やオンブズマンが情報開示制度を駆使して追及しているが、今後、個別の事業案件が「防衛」「外交」「特定有害活動(注)」「テロリズム」に影響のあるものと当局が認定すれば、情報の大部分が秘匿されてしまうことが予想される。

 実際、サイバー攻撃の対象が電力・エネルギー供給施設や交通管制システムに向けられている時代ともなり、これを口実に行政の正常な執行をチェックする市民の活動が妨げられたり、「特定有害活動」とみなされて抑圧されたりすることも、今回の法案が成立すれば十分にあり得ることなのだ。

(注)公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう(法案第一二条二の一)。

(古是三春・軍事評論家、12月6日号)