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何が秘密かはヒ・ミ・ツ……特定秘密保護法案――全国で高まる「廃案を!!」の声

東京都内で13日に行なわれた、超党派国会議員による「秘密保護法に異議あり!」の街頭リレートーク。マイクを握っているのは、日本共産党の穀田恵二衆議院議員。(撮影/島崎ろでぃ)

東京都内で13日に行なわれた、超党派国会議員による「秘密保護法に異議あり!」の街頭リレートーク。マイクを握っているのは、日本共産党の穀田恵二衆議院議員。(撮影/島崎ろでぃ)

「秘密保全法に反対する愛知の会」による、名古屋市内での夜の宣伝活動。トランペットも繰り出し、同会共同代表の中谷雄二弁護士が熱弁をふるった=14日。(提供/同会)

「秘密保全法に反対する愛知の会」による、名古屋市内での夜の宣伝活動。トランペットも繰り出し、同会共同代表の中谷雄二弁護士が熱弁をふるった=14日。(提供/同会)

日本外国特派員協会で会見に臨む(左から)山本太郎、主濱了、仁比聡平、福島みずほの各参議院議員=14日。(撮影/片岡伸行)

日本外国特派員協会で会見に臨む(左から)山本太郎、主濱了、仁比聡平、福島みずほの各参議院議員=14日。(撮影/片岡伸行)

弁護士、ジャーナリスト、国会議員、作家など幅広い女性たちが秘密保護法案への危機感を訴えた=15日、衆議院第二議員会館。(撮影/成澤宗男)

弁護士、ジャーナリスト、国会議員、作家など幅広い女性たちが秘密保護法案への危機感を訴えた=15日、衆議院第二議員会館。(撮影/成澤宗男)

 安倍政権が防衛・外交情報を好きなだけ「秘密」に指定し、知ろうとする国民も罰することが可能な特定秘密保護法案の成立を今国会中に強行しようとするなか、全国で廃案を求める広範な運動が急速に広がっている。

【全国で一斉行動】

 一一月一二日から一九日にかけては、岡山市や高知市、室蘭市、姫路市など一四カ所で同法案反対のデモや街頭宣伝が展開された。さらに集会・学習会も、福岡市や静岡市、広島市など二一カ所で開かれている(編集部調べ)。このうち大阪市内では一二日、秘密保護法案に反対するデモが行なわれた。主催者の大阪弁護士会によれば、予測の一・五倍にあたる約六〇〇人が参加し、「私たちの『知る権利』守ろう」と書かれた旗を見て途中から参加する市民もいた。

 名古屋市では一四日、「秘密保全法に反対する愛知の会」が自民党の愛知県支部連合会を訪れ、「法案が成立すれば……国民は監視の対象とされ、民主主義及び立憲主義は有名無実に帰すことになります」と抗議した、廃案を求める要請書を提出。さらに同日に昼と夜の二回にわたり、市内の街頭で同法案の危険性を訴えた。

 一方、すでに同法案に反対する意見書を二度発表している日本弁護士連合会(日弁連)は一五日、「特定秘密保護法案に反対し、ツワネ原則に則して秘密保全法制の在り方を全面的に再検討することを求める会長声明」を発表した。この「ツワネ原則」は安全保障分野における国際立法基準を示しており、本誌九月二七日号と一〇月四日号で初めて内容が紹介されて以降、急速に関心が持たれている。それと比較すると、秘密保護法案がいかに非民主的で人権面でも後進的かを示しているためだ。

 なお、日弁連の全国の単位弁護士会五二のうち、法案の内容が明らかになった九月以降、すでに三二団体(一一月一八日現在。日弁連調べ)が秘密保護法案の反対を表明している。また同日までに、労組や学術団体、市民団体など五九の団体が反対声明を発表。反対アピールは東京都杉並区民有志など区市レベルにも広がっている。その数は、今後も増えそうだ。

「女性たちは秘密保護法に反対する」と題して一五日に衆議院第二議員会館で会見を行なったのは荻原博子さん(経済ジャーナリスト)、土井香苗さん(弁護士)、雨宮処凛さん(作家、本誌編集委員)、小宮山泰子さん(衆議院議員・生活の党)ら。それぞれ同法案の問題点を指摘し、「女性の力でぶっ潰す!」と声を上げた。

【外国特派員にもアピール】

 超党派の参議院議員四人(社民党・福島みずほ、日本共産党・仁比聡平、生活の党・主濱了、無所属・山本太郎の各氏)は一一月一四日夕、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見。福島議員は「何が秘密かわからないので地雷を踏むようなもの。国際基準とも言えるツワネ原則にも反しており、廃案にするしかない」、仁比議員は「国民主権、平和主義など日本国憲法の精神を根底から覆す稀代の悪法。修正協議などと報じられているが、修正で危険が減じることはない」、主濱議員は「何が罪=秘密かを示さないのは罪刑法定主義に反する。また、適性評価の過程で国民のプライバシーが侵される」、山本議員はベトナムへの原発輸出に絡み、復興予算五億円の使途を情報公開請求したところ黒塗りの文書が出てきたとし「今でも情報は隠蔽されている。秘密を守るなら既存の自衛隊法、国家公務員法などで十分だ」などと指摘した。

 国会の動向と廃案になる可能性などを記者から問われると、「自民党内部にも慎重派がいる。現在審議が行なわれている衆院で徹底議論をし、参院での審議にしてはならない」(仁比議員)、「(この法案は)ドラキュラと同じで、その危険性を日に晒せたら勝ち。多くの人に知れれば危険性がわかるはず」(山本議員)などと訴えた。

【NGOも廃案要求】

 世界各地で支援活動を展開する国際協力NGO(非政府組織)も反対の声を上げた。北海道から沖縄まで一〇二団体が名を連ねた「秘密保護法を制定しないことを求める」要請書を、一一月九日に安倍首相に提出。一三日には呼びかけ八団体の代表らが衆議院第二議員会館内で会見した。

 会見では、(1)防衛分野の秘匿情報は国際紛争を武力によって解決することを前提としており、日本国憲法九条の考え方に反する(2)安全脅威活動(特定有害活動)では「外国の利益を図る目的」が取り締まり対象とされているが、NGOの活動はそもそも外国での海外支援活動である(3)外務省などと委託契約を結んで海外で活動するNGOは「特定秘密の取扱者」として「適性審査」の対象となり、申請段階から活動を萎縮させる――などの点を指摘。「人道支援などのNGO活動を阻害し、民主主義に不可欠の市民参加が損なわれる」として強い危惧を表明した。

 特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は法案の条文ごとに問題点を指摘し、「秘密指定にチェック機能が何もなく、秘密の範囲も広く濫用の危険性が大きい(三条、六条、一八条など)。共謀・教唆・扇動罪(二四条)は民主主義の健全なチェック&バランスを死滅させる危険性があり、適性評価(一二~一六条)は著しいプライバシー侵害。廃案を求めたい」とした。

(成澤宗男、片岡伸行・編集部、11月22日号)

◆外国メディアも廃案求める

 日弁連や日本新聞協会など多くの団体が特定秘密保護法案への危惧を表明しているが、外国メディアおよびジャーナリストが加盟する日本外国特派員協会(東京・有楽町)は一一日、ルーシー・バーミンガム会長名で、日本の国会に対して報道の自由に照らし「特定秘密保護法案」の廃案を求める声明を発表した。同協会が特定の法案を糾弾し、廃案を求めるのは異例だ。

 声明では、「調査報道の真髄は、政府の活動に関する秘密を明らかにし、それを市民に伝えること」とした上で、同法案が取材について「不適切な方法」を用いてはならないとしていることは「メディアに対する直接的な威嚇」だと強く抗議している。

 また、表現の自由のための国際人権団体「ARTICLE19」(本部・ロンドン)も一二日、「秘密保護法案を否決するよう、日本の国会に強く求める」との声明を出した。福島原発事故での情報隠蔽を例に、「政府にとって不都合な情報が非公開にされる傾向がさらに助長される」としている。

(片岡伸行・編集部、11月22日号)