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伊方原発の事故危惧する声も――米国に学ぶ市民運動

2013年10月10日12:30PM

再稼働の一番手と目される四国電力伊方原発に近い八幡浜市で九月二一日、「南予とエネルギーの未来像」と題する国際ワークショップが開かれた。登壇者は米国サン・ディエゴ市で六月に行なわれたサン・オノフレ原発の廃炉を求める会議に出席したメンバー、菅直人元首相、グレゴリー・ヤツコ元NRC(米国原子力規制委員会)委員長、トーガン・ジョンソンさんの三人。サン・オノフレ原発は会議三日後に廃炉を決定した。

 菅さんは「福島の燃料プールの放射性物質の量では、チェルノブイリをはるかに凌ぐ大きな事故になると考えたが、旧原子力安全・保安院は文系のトップ以下、事故対応できない人々であり、事故は起きないことになっていた」と体制を批判した。

 ヤツコさんは「原発に関わった人間には事故を起こさない責任があり、福島を教訓に、事故が起きたとき誰も避難しなくてもいい安全基準を作るべきだが、世界中の原発は不合格になるのだから、すべてを止めるべき」と主張。

 ジョンソンさんは「福島の事故で原発の危険性を確信し、住んでいる町を守るために、原発五〇キロメートル圏内の住宅資産の損失額を推計して議員に働きかけ、住民の安全を最優先する決議が成立した」と語った。

 参加者からは「崖下に立地する伊方原発には汚染水を溜めるタンクの設置場所すらない」「日本最大の活断層中央構造線から、わずか八キロメートルに位置する伊方原発では、制御棒が間に合わない」「伊方原発から八〇〇メートルのところに一九八八年、米軍大型ヘリが墜落し、七人が死亡した。今また、オスプレイが低空飛行を始めた」など原発事故を危惧する声が上がった。

 米国でも電力会社と規制する側が利益でつながり、社会に損失を押しつけているようだが、市民が新しい方法を考え、関係性を築けば、道は拓かれるのではないか。

(外京ゆり・実行委員会、9月27日号)

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