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愛知県でトヨタのテストコース着工――環境破壊の懸念、解消されず

鍬入れ式には環境を掲げ当選した大村秀章知事(右から2人目)も参加。(撮影/横田一)

鍬入れ式には環境を掲げ当選した大村秀章知事(右から2人目)も参加。(撮影/横田一)

絶滅危惧種のミゾゴイ(サギの一種)が生息する里山を破壊する「トヨタ自動車のテストコース・研究開発施設整備計画」(愛知県岡崎市・豊田市)が本格的に動き出した。建設予定地は約六五〇ヘクタール。三工区に分かれているが、一周約六キロの高速走行コースになる「東工区」は昨年一一月にすでに工事が開始。八月二四日には「中工区」でも造成工事の着工を祝う鍬入れ式が開かれた。

 式典に出席した大村秀章知事は「自動車産業を牽引する施設になると思う」「(中工区では)『カントリー路(山岳路)』を作るということで、これまでの日本にない施設になろうかと思う」と絶賛した。

「カントリー路」は、ヨーロッパの山岳路を想定したテストコースで、アップダウンやコーナーが多い特徴を有する。「トヨタは山岳路での走行安定性や乗り心地をテストしたいので、この里山の地域を選定したともいえます」(愛知県企業局の担当者)。

 結局、トヨタの欧州市場での競争力向上のために、貴重な里山の環境破壊を伴うテストコース建設を進めるという関係になっているが、「環境」を掲げて当選した大村知事は矛盾や葛藤は感じていないのか。式典後、「環境への影響は避けられないのではないか」と聞くと、大村知事はこう答えた。

「四〇〇ヘクタール以上の改変を伴う当初の計画が二七〇ヘクタールに止まった。事業計画を大きく変更して、環境に十分配慮してやっていくということです。世界にも誇れるような環境との両立をした研究開発施設にしていきたいと思っておりますし、そういうふうにしていけると思っております」
 しかし地元環境団体は、トヨタのテストコースに関する質問状(八月末期限)を出すなど、環境破壊への懸念は解消していないままだ。今後、環境への悪影響が出た場合には、トヨタや大村知事への批判が強まる可能性は十分にある。

(横田一・ジャーナリスト、8月30日号)