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楽観的な工程表に批判の声――福島で廃炉に関する初会合

県民の代表ら約30人が出席して、廃炉計画を聞いた「安全確保県民会議」。(撮影/藍原寛子)

県民の代表ら約30人が出席して、廃炉計画を聞いた「安全確保県民会議」。(撮影/藍原寛子)

放射能汚染水による海洋汚染を止められないのに、「福島県原子力発電所の廃炉に関する安全確保県民会議」(議長・渡邊明福島大学教授)の初会合が開かれていた。「東京電力や国の廃炉に向けた取り組みを県民の目で確認する」ことを目的としたもので、八月四日、福島市内で開催。楽観的な内容を含んだ国の廃炉計画・改訂ロードマップ(工程表)について、県民代表委員から厳しい意見が相次いだ。

 改訂ロードマップでは、福島第一原発2号機の場合、溶融燃料取り出し開始想定時期として、三プランのうちの一つに「一年半前倒し・二〇二〇年度上半期」案が示された。これに対し、渡邊議長をはじめ県民代表委員から「廃炉は県民が強く求めるものだが、燃料の状態が分からないのに『前倒し』を示すことは、県民に安易な期待を抱かせ、結果として失望させることになる」との声が上がった。

 海洋汚染でさらなる打撃が予想される漁業者の団体、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は、「汚染水の海洋流出について、改訂ロードマップで何ら触れていない」と指摘。渡邊議長も「汚染水の源を閉めないといけないが、それができていない」とした。

 原子力規制庁の小坂淳彦地域原子力規制統括管理官は「東電に先立って、漏洩の疑いを公表し、東電には(地下水流を調べる)ボーリング調査を指導してきたが、いまだ行なわれていない。今後は新たなワーキンググループを設置していく」と答えるに止まった。東電からは対策について具体的な回答がなかった。

 牛など家畜の被害を受けている県酪農業協同組合の但野忠義組合長は「県内で除染が始まったが、処分場が決まらないため除染が進んでいない。廃炉も同じ。最終処分場問題についてきっちり検討しなければ、廃炉計画は結局うやむやになる」と、「“トイレ”なき廃炉計画」の根源的問題を指摘した。

(藍原寛子・ジャーナリスト、8月30日号)