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チェルノブイリ研究のムソー教授が来日――原発事故の生態異変を調査

単独インタビューに応じた、ティモシー・ムソー教授。(撮影/成澤宗男)

単独インタビューに応じた、ティモシー・ムソー教授。(撮影/成澤宗男)

ウクライナなどで、チェルノブイリ原発事故の動植物への影響を一四年間にわたって調査し、福島原発事故後は六回にわたって福島でも調査している米サウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授(生態学)がこのほど来日し、全国各地で講演した。

 ムソー教授はこれまで、チェルノブイリ原発事故による汚染地帯で主にツバメなど鳥類を二〇〇〇羽以上捕獲して、非汚染地帯の鳥類と比較して異変を観測する方法で調査を続けている。

 衆議院議員会館でこのほど開かれた講演会で教授は、これまでの鳥類のデータを基にさまざまなスライド写真を掲示しながら、傾向として(1)個体数の六六%もの減少(2)精子の異常の著しい高さ(3)小頭症や白内障、腫瘍、尾羽・くちばしの変形といった症状の発生のおびただしさ(4)出生率・寿命の低下――等が観測されると発表した。

 さらに、「突然変異が世代を超えて伝えられる」と述べ、事故から二七年たっても依然、放射能被害が野生動物の間で広範に拡大し続けている現実に注意を促した。

 また福島について教授は、「調査は進行中」と慎重な言葉遣いながら、「チェルノブイリと比較し、(動物の)変異の表れ方が早いのではないか」と述べ、憂慮すべき現状であることを示唆した。

 帰国前に本誌の単独インタビューに応じたムソー教授は、「チェルノブイリ事故では動物と同様、人間にも大変な健康被害が出ているが、福島でも同じことが予測されるのか」という質問に対し、「医者ではないので、人間に関する影響については断定的な見解を下すことはできない」と回答した。

 だが、「これまでの調査で、放射能の数値がここまでなら生物は安全、という閾値が存在しないのは明白だ」と述べ、年間の放射線線量が二〇ミリシーベルトまでなら「安全」としている日本政府の見解を暗に批判した。

(成澤宗男・編集部、8月23日号)