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責任不明確な福一原発の事故処理体制――再稼働よりも汚染水対策を!

汚染水漏れの説明をする政府側。具体的で誠実な回答は得られなかった。(撮影/木野龍逸)

汚染水漏れの説明をする政府側。具体的で誠実な回答は得られなかった。(撮影/木野龍逸)

 福島第一原発の汚染水漏れ問題で、東京電力は凍土方式を検討するなどとしているが、事故収束作業に誰がどのように責任を負うかという具体的な部分や、原子力規制庁や資源エネルギー庁の体制、汚染水対策の経緯などが不透明であることが、八月八日に参議院議員会館で行なわれた緊急集会と政府交渉「海を汚さないで! 再稼働よりも放射能汚染対策に注力を!」で改めて明確になった。

 主催は、環境NGO(非政府組織)のFoE Japanや市民団体の福島老朽原発を考える会など一〇団体。約一四〇人の市民と国会議員四人が集まった。政府側からは資源エネ庁、規制庁、環境省、外務省が出席した。

 最大の問題は、事故収束作業の責任体制が曖昧であることだ。資源エネ庁と規制庁はそれぞれ事故対応にあたっているが、規制庁は安全確保や規制への適合を監視し、資源エネ庁が収束作業の方法などを東電とともに決定する監督者という立場だ。

 ところが、今後汚染水の流出を止められなかった場合にどちらが責任者になるのか、管轄はどうなっているのかと問われると、担当者たちが顔を見合わせてしまった。会場がどよめく中、資源エネ庁担当者が「申し訳ない。明確に答えがない」と釈明した。

 原発事故の収束作業は内容が多岐にわたり、縦割り行政の中では対処が難しい。そのため事故直後は、超法規的措置ともいえる統合対策室を設置して政府が東電の監視を強化した。しかし二〇一一年一二月一六日の収束宣言により統合対策本部は解散。後継組織として中長期対策会議(現在は廃炉対策推進会議に名称変更)を置いたが、事務局を担当する資源エネ庁の責任者が半年から一年で異動していることからも長期的な対応ができていないことがわかる。

 東電が一二年一二月に一回目の地下水の分析を実施した後、五月に二回目の分析を実施してようやく地下水汚染を認識した問題に関しては、規制庁担当者は「通常であれば定期的に出ているデータは東電に問い合わせするが、今回そういうことが行なわれたかは把握しきれていない」と述べ、計測しなかった理由はわからないとした。東電が地下水分析をしたのは、港湾内の放射能濃度が下がらない原因を調査するためだったにもかかわらず、国の確認が後手に回っていたのだ。

 規制庁や資源エネ庁の体制も問題になった。福島第一原発の収束作業を担当する職員は、幹部も含めて資源エネ庁が一五人、規制庁が約四〇人(二人の規制委員会委員含む)のみ。しかし、一方で規制庁は再稼働の適合審査のために約八〇人を投入していることが説明されたためだ。

 市民団体側からは、事故収束作業への対応もできていない中で再稼働の審査に多くの職員を投入するのはおかしい、まずは汚染水問題に集中すべきではないかという疑問の声が相次いだ。規制庁担当者は「しっかりやっていく」と述べるに留まった。

 汚染水対策の経緯が不透明なことも俎上に載せられた。資源エネ庁と規制委員会はそれぞれ、汚染水対策の専門委員会やワーキンググループを設置しており、規制庁は会議を全面公開している。ところが資源エネ庁は「企業側からも要請があったので」として、会議も議事録も非公開の立場だ。

 汚染水対策として注目された凍土方式の陸側遮水壁という方法は、資源エネ庁の非公開会議「汚染水処理対策委員会」でゼネコン数社がプレゼンをした方法の中から決定したが、議事録は公開されていない。

 また菅義偉官房長官が八月七日の会見で、経済産業省が汚染水対策に税金を投入することを検討中と述べたことがロイターなどで報じられているが、陸側遮水壁を含めて汚染水対策のコストは明らかになっていない。

 政府は一刻も早く現行の枠組みを見直し、責任の所在の明確化、透明性の確保、長期的な作業に対応できる体制の整備をする必要がある。

(木野龍逸・ジャーナリスト、8月23日号)