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避難継続・移住補償を求め政府交渉――強行される「帰還」に抗議

2013年8月28日10:47PM

「住民の意向を聞く」とした原子力災害対策本部の松本氏(右から2番目)。(撮影/阪上武)

「住民の意向を聞く」とした原子力災害対策本部の松本氏(右から2番目)。(撮影/阪上武)

原発事故による避難者に対し、「帰還」を事実上強制する動きが進んでいる。この中、避難継続・移住を希望する避難者への総合的な支援策の一刻も早い確立を求めて七月三一日、東京・永田町の参議院議員会館で「原発被災者の権利を守ろう!」(主催・FoE Japan、福島老朽原発を考える会)と題する集会と政府交渉が行なわれた。約一三〇人が結集した。

 福島県伊達市の特定避難勧奨地点ではすでに、住民の意向を無視した一方的な指定解除と賠償打ち切りが強行された。解除の基準は、指定の基準と同じ、年二〇ミリシーベルト(mSv)とされた上、年一mSv以下にとの除染目標は消滅。一回の測定で勝手に解除が決められ、一方的な通知と三カ月後に賠償を打ち切る“兵糧攻め”が避難者の生活を圧迫している。

 次に解除が狙われているのが南相馬市の特定避難勧奨地点だが、指定を受けた当事者で市議の大山弘一さんは同日、「いまだに汚染は深刻で、年一mSvの基準が守られないのは人権侵害」と訴えた。

 このほか、元の計画的避難区域と警戒区域でも、年二〇mSv以下の避難指示解除準備区域において解除に向けた動きが進んでいる。

 政府は、田村市都路町の避難指示解除準備区域で、個人線量計による線量の自主管理を行ない、住民の宿泊を認める実験をこの八月から開始。個人線量で評価すれば数値が空間線量よりも小さくなることが知られている。これで被曝線量を抑えたことにし、被曝を前提とした帰還の強制につながることが危惧される。

 田村市都路町から金沢に避難している浅田正文さんは集会で、「自己管理というが、住民を使った実験ではないか」と反発した。

 同日の政府交渉で、原子力災害対策本部被災者生活支援チームの松本真太郎氏は、「今後は住民の意向を聞く」と回答するにとどまった。

(阪上武・福島老朽原発を考える会、8月9日号)

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