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「過重負担はもう限界」不信増す県民――米軍キャンプにヘリ墜落

2013年8月26日5:57PM

 八月五日午後四時ごろ、沖縄県宜野座村松田区に隣接する米軍キャンプ・ハンセン内の訓練場で、米空軍嘉手納基地所属のHH60救難ヘリコプター一機が訓練中に墜落、機体は黒煙を上げて激しく爆発、炎上した。墜落現場から一番近い住宅地まで二キロ、一キロ以内には沖縄自動車道(高速道路)もあり基地の危険と隣り合わせで暮らしてきた周辺住民たちに衝撃が広がった。

「基地内で白煙が上がっている!」。事故を目撃した同村役場担当者から沖縄県警に通報が入ったのは午後四時八分。しかし、米軍報道部からの発表はなく県警は独自にヘリを那覇空港から飛ばし現場を確認するしか手立てがなかった。

 同日、同時刻。宜野湾市内で仲井眞弘多県知事や関係市町村長らが集まった「県軍用地転用促進・基地問題協議会」の総会が開かれていた。NHK午後五時の全国ニュースを確認した県の担当者から直接一報を受けた又吉進知事公室長がヘリ墜落を伝えると出席者全員の顔が凍りどよめきの声があがった。

 さらに、同時刻、嘉手納基地周辺の三市町村長(嘉手納町・北谷町・沖縄市)がオスプレイの追加配備の撤回や嘉手納基地への空軍仕様オスプレイ配備反対を求める抗議要請文を武田博史沖縄防衛局長に直接手渡していた。抗議要請直後、報道関係者から墜落の情報を知らされた関係者たちは「懸念が現実になった」と批判した。この時点で沖縄防衛局も詳細を把握していなかった。

 墜落事故の情報は錯綜し情報は二転三転した。米軍報道部や沖縄防衛局から詳細を得られない県、県警、報道、まさに三すくみの状態で現場はさらに混乱していた。同村役場から通報を受けた消防と県警も車両を急行させた。しかし米軍側は「基地内」として立ち入りを拒否。六日現在、乗組員一人の死亡が確認されている。

(平良暁志・ジャーナリスト、8月9日号)

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