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共通番号法(マイナンバー法)が成立――「社会保障」の理念は立ち消え

国民一人ひとりに番号をふり、納税や年金などの情報を行政が把握できるようにする共通番号法(マイナンバー法)が五月二四日、参議院本会議で成立した。社民、共産、生活の党などは反対した。

 二〇一五年一〇月から国民すべてに一一桁以上の個人番号がわりあてられ、税務署や自治体、日本年金機構などの行政機関がそれぞれ管理していた個人情報が、ネットワークでつながることになる。個人情報の民間活用や医療情報は今回は適用外だが、三年後の法改正時には認められる公算が高い。

 マイナンバー法は民主党政権時代には「社会保障と税の一体改革」という理念のもと、低所得者対策への活用が念頭にあった。しかし自民党政権になってこの構想は立ち消えた。

 衆議院本会議の質疑では自民、民主、公明、みんな、日本維新の会などの修正協議によって、法案に「行政分野におけるより公正な給付と負担の確保をはかること」という文言が付け加えられた。

 税金未納を防ぐ狙いもあるが、預金や非公開株、不動産などの金融資産は把握できないという。

 個人情報を政府が一手に握ることへの懸念に、安倍晋三首相は五月二三日、「国民に役立つ制度にするよう全力をつくす」と語った。

 法案成立をうけ、二八日には参議院議員会館内で法案採決に抗議する院内集会が開かれた。

「監視社会を拒否する会」共同代表で上智大学教授の田島泰彦氏は、「我々の情報が手の届かないところまでいっている。御上の意のままに情報が一元的に管理され、コントロールされていく。そういう段階にきている」と指摘。「憲法改正とも連動している」とし「盗聴法の適用拡大や秘密保全法の問題など全体状況を射程に入れ今後の対策を考えていきたい」と話した。

 同会は今後、システムを導入する自治体などに働きかけ、具体的な問題点を指摘していくという。

(野中大樹・編集部、5月31日号)