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横須賀の米海軍原子力空母は“約束違反”――放射性廃棄物を艦外に搬出

米海軍は五月二三日、横須賀基地(神奈川県)で改修中の原子力空母ジョージ・ワシントンから出た低レベル放射性廃棄物を米国本国に持ち帰るため艦外に搬出した。

 二〇〇八年に同空母が配備以後、艦外搬出は五回目になる。「放射性廃棄物は艦外に搬出されない」約束に米国は違反していると平和団体・市民団体が抗議した。

 一日数百隻の船舶が出入りする東京湾の入り口にある同基地は都心から四〇キロメートルしか離れていない。ジョージ・ワシントンは出力六〇万キロワットの原子炉を二基搭載。福井県の美浜原発1、2号機の出力に近い。同空母は昨年一一月二〇日に入港しすでに半年以上になる。

 事故が起これば「風下の半数が死亡する範囲は、三浦半島のほぼ全域に」(『東京新聞』〇六年六月一五日)というショッキングな記事が掲載されたのはジョージ・ワシントン横須賀配備の二年前だ。

 ジョージ・ワシントンが停泊している奥には三本の煙突と灰色の建物が見える。原子炉冷却用電源供給用の発電所だ。同発電所は岸壁から海抜三メートルしかない。津波で浸水または水没するだろう。津波がこなくても建物の崩壊、液状化、火災などで電力供給ができなくなれば冷却不能に陥り、原子炉のメルトダウンも起こる。

 原子力艦船の停泊で危険性は日常化していると言える。米軍当局は「何重にも防護しているから安全だ」と繰り返しているが、二つ目の低レベル放射性廃棄物のコンテナが運びだされている同空母の目の前を軍港遊覧船が通り過ぎていった。ほぼ満員の遊覧船からは観光客が手を振っている。ここで事故が起これば福島第一原発事故を上回る大惨事になることを予想している人はいないだろう。

(森住卓・フォトジャーナリスト、5月31日号)

共通番号法(マイナンバー法)が成立――「社会保障」の理念は立ち消え

国民一人ひとりに番号をふり、納税や年金などの情報を行政が把握できるようにする共通番号法(マイナンバー法)が五月二四日、参議院本会議で成立した。社民、共産、生活の党などは反対した。

 二〇一五年一〇月から国民すべてに一一桁以上の個人番号がわりあてられ、税務署や自治体、日本年金機構などの行政機関がそれぞれ管理していた個人情報が、ネットワークでつながることになる。個人情報の民間活用や医療情報は今回は適用外だが、三年後の法改正時には認められる公算が高い。

 マイナンバー法は民主党政権時代には「社会保障と税の一体改革」という理念のもと、低所得者対策への活用が念頭にあった。しかし自民党政権になってこの構想は立ち消えた。

 衆議院本会議の質疑では自民、民主、公明、みんな、日本維新の会などの修正協議によって、法案に「行政分野におけるより公正な給付と負担の確保をはかること」という文言が付け加えられた。

 税金未納を防ぐ狙いもあるが、預金や非公開株、不動産などの金融資産は把握できないという。

 個人情報を政府が一手に握ることへの懸念に、安倍晋三首相は五月二三日、「国民に役立つ制度にするよう全力をつくす」と語った。

 法案成立をうけ、二八日には参議院議員会館内で法案採決に抗議する院内集会が開かれた。

「監視社会を拒否する会」共同代表で上智大学教授の田島泰彦氏は、「我々の情報が手の届かないところまでいっている。御上の意のままに情報が一元的に管理され、コントロールされていく。そういう段階にきている」と指摘。「憲法改正とも連動している」とし「盗聴法の適用拡大や秘密保全法の問題など全体状況を射程に入れ今後の対策を考えていきたい」と話した。

 同会は今後、システムを導入する自治体などに働きかけ、具体的な問題点を指摘していくという。

(野中大樹・編集部、5月31日号)