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規制改革会議で進む保育分野の規制緩和――親の会らが意見書を提出

規制改革会議への意見書を共同提出した保育園を考える親の会などの記者会見。(提供/普光院亜紀)

規制改革会議への意見書を共同提出した保育園を考える親の会などの記者会見。(提供/普光院亜紀)

 規制緩和を進める安倍政権下で今年一月に発足した規制改革会議(議長=岡素之・元住友商事社長、委員一五人)は現在、保育分野の規制緩和の検討を進めている。

 第五回会議では保育分野の検討事項として、(1)自治体が認可保育所への株式会社の参入を抑制しないように政府がガイドラインをつくる(2)待機児童が多い都市部で特例的・時限的な規制緩和を認める(3)保育の質についての第三者評価を拡充する、の三点が挙げられた。

 子どもが待機児童になり、集団で「異議申立て」をしたグループの親は規制改革会議の議事録を見て驚いた。委員が、親の「デモ」が起こっているから規制緩和を急ぐべきだと述べていたからだ。

 第七回会議が開催された四月一七日朝、これらのグループと保育園を考える親の会など四つの団体と子どもを保育事故で亡くした夫妻らは、「私たちは安全・安心な認可保育所の増設を求めているのであって、規制緩和は求めていない」という趣旨の意見書をそれぞれにまとめ、ともに規制改革推進室・厚生労働省におもむき、提出した。

 安倍晋三首相は一九日、成長戦略として「五年間で待機児童ゼロ」や「育児休業を一年から三年に延長」することを支援するとしたが、親たちが心配する認可保育所の面積基準や人員配置基準のゆくえは定かではない。そもそも日本の認可保育所の保育士の配置基準、面積基準は先進諸国に比べて低い。専門家や現場からは基準の向上が求められてきたが、一九九七年の児童福祉法改正以降、パート保育士の導入、定員弾力化による面積基準ぎりぎりの子どもの「詰め込み」など、質を下げる方向に規制緩和が進んできた経緯がある。

 二〇一五年実施予定の子ども・子育て支援新制度では、質の向上を求める意見を受け配置数の改善が検討されるはずだったが、このままではそれどころではなくなる。

(普光院亜紀・保育園を考える親の会代表、5月10日号)

ふくしま集団疎開裁判で原告の申立を却下も――高裁は被曝の危険性を指摘

 福島県郡山市の小・中学生一四人が市に対し、年一ミリシーベルト以下の環境で学校教育を受けさせるよう求めた民事仮処分裁判(ふくしま集団疎開裁判)で、仙台高裁は四月二六日、申立を却下した。一方で判決文は、子どもたちが「低線量被ばくにより、生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される」など原告側主張に沿った画期的な事実認定をしており、国や市の児童・生徒の保護に対する姿勢が厳しく問われる内容となった。

 一昨年一二月の一審判決では、児童・生徒の健康に関する現状は「危険ではない」との判断。だが二審判決では、(1)市内の小・中学校にある一五二の計測地点中、文部科学省が「安全」とした一時間あたりの空間線量〇・二三マイクロシーベルトという基準を下回ったのは、九カ所だけ(2)除染も「一回では不十分」なのに、「作業が進まない」――と指摘。

 これを受け、児童・生徒が「低線量の放射線に間断なく晒されているものと認められるから、そうした低線量の放射線に長期間にわたり継続的に晒されるところであり、チェルノブイリ原発事故後に児童に発症したとされる被害状況に鑑みれば……がん・白血病の発症で生命・身体・健康を損なわれる具体的危険性があり」と述べている。

 さらに、原告側が求めている集団疎開についても、「国・地方公共団体がその費用により集団疎開措置を施さない限り……(健康被害の)事態を打開できず、ほかに実効的手段はない」と断定している。

 ところが後半では一転して「生命・身体・健康に対しては……現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼすおそれがあるとまでは証拠上認め難い」という理由で、集団疎開による他地域での教育実施の必要性を否定。原告の主張をほぼ全面的に認めながら、申立は却下した。

 判決直後に国会内で開かれた弁護団の記者会見で、柳原敏夫弁護士は「判決文を読み、キツネにつままれたような気持ちだ」と述べ、「子どもたちが被曝し、危険な状態にあるという原告側の主張を九九%認め、それを回避するために初めて集団疎開を『一つの選択肢』と評価しながら、放射能被害は後になって発生するのに『直ちに影響はない』という理由で避難させなくともいいと結論づけているのは、支離滅裂だ」と批判した。

(成澤宗男・編集部、5月10日号)