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「より多くの人がヤギになればいい」

2013年2月18日5:10PM

排外主義について講演する森達也氏。(写真/林克明)

 先月26日、「差別・排外主義に反対する連絡会」主催で、森達也氏(作家・映画監督)の講演集会が東京都内で行なわれ、約80人が参加した。生活保護差別や在日朝鮮人差別などにみられる“バッシング現象”の本質を語った。

「日本社会が変質する転機だったオウム真理教事件は、あれだけの大事件なのに麻原の裁判は一審で終わり。なぜサリンをまいたかが解明されていない。たとえるなら、深夜の帰宅途中で暴漢に襲われ入院。犯人は捕まったが、怨恨なのか、金目当てなのか、理由がわからないと不安と恐怖が増幅し、武器を持った人に守ってもらいたい、集団なら安全だと考えるようになります」

 その結果は、4年後に明確に表れた。「1999年の国会で、国旗国歌法、住民基本台帳法(改正)、通信傍受法(盗聴法)などが次々に決められ、集団化と異物排除の傾向が強まり、3・11後に加速した」

 暗く沈む聴衆に森氏はこう言った。「モンゴルに行ったとき羊100匹の群れにヤギが1匹の割合でいた。なぜかと聞くと、食べる草がなくなっても羊は群全体が動かず止まったままでやせ細ってしまう。しかしヤギが勝手に移動するとそれについて羊が移動して助かる。より多くの人がヤギになればいい。そのためには視点を変えること」とし、全体主義に流れやすい日本社会に警鐘を鳴らした。

(林克明・ジャーナリスト、2月1日号)

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