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「50歳雇い止め」は撤回を――「市進」講師が労組結成

2013年2月5日5:26PM

「市進学院」の専任講師による労働組合結成の会見。(撮影/古川琢也)

「市進予備校」「個太郎塾」などを展開する「市進教育グループ」傘下の(株)市進(本社千葉県市川市)が運営する学習塾「市進学院」の専任講師たちが一月一六日東京都内で会見し、労働組合を結成したと発表した。市進学院で働く四四歳から五二歳までの専任講師七人により、全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合の市進支部として昨年末発足。市進グループとしては約一七年ぶりの労組結成になる。

 七人は市進学院の専任講師としていずれも二〇年以上勤務。だが支部によると、その雇用形態は契約期間一年の有期雇用契約を毎年更新するもので、会社はこの間、契約更新を盾に賃金カットなどの不利益変更を強要してきた。

 また市進では二〇〇三年、専任講師の就業規則に「更新は五〇歳が最後」との条項を追加。会社は当初、嘱託講師などで継続雇用すると約束していたが履行されず、組合員のうち二人が、すでに雇い止めを言い渡されているという。

 今年四月には改正労働契約法が施行され、五年を超え勤務している有期雇用労働者は、希望により期間の定めのない契約への切り替えが可能となる。同法施行前に有期雇用契約者の雇い止めを進める市進側の意図について、支部の並木創一執行委員長は「規制が強化される前に有期雇用者のクビ切りを済ませ、より安く使えるアルバイト非常勤講師の比率を増やしたい狙いがあるのではないか」と語る。別の組合員からは、「少子化は塾業界共通の悩みだが、市進は同業他社以上に売上減が激しい。合格実績を出せるベテラン講師を切り捨ててしまったし、かつては売りだった生徒フォローの時間も長時間労働の押し付けで難しくなったからだ」との指摘もあった。

 組合では会見同日、「五〇歳雇い止め制」の撤廃などを求めて会社への団交申し入れも行なっており、市進側は「団交には応じる」と回答している。

(古川琢也・ルポライター、1月25日号)

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