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原発推進IAEAが健康評価で主導権――住民の批判無視し福島で会議

2013年1月17日5:54PM

「原子力安全に関する福島閣僚会議」は日本政府から玄葉光一郎外務大臣が出席した。(撮影/おしどりケン)

 IAEA(国際原子力機関)の「原子力安全に関する福島閣僚会議」が一二月一五~一七日、福島県郡山市で開催され、IAEAが除染や健康評価などについて福島県に協力していく、という覚書に署名が交わされた。

 会議に先駆けて九日に行なわれた地元説明会に参加した住民はわずか二五人。「事故があった福島で原子力『安全』に関する会議とは何だ。『危険』に関する会議ではないのか」(三〇代女性)、「福島県は脱原発を明言したが、そこでなぜ原子力推進のIAEAが会議をするのか」(四〇代女性)など、ほとんどが会議に際して批判的だった。

 地元説明会を主催した外務省は「IAEAの目的は原子力の平和的利用の促進と、核兵器転用の防止。会議名は今さら変更できない」と説明。この会議の目的の一つがIAEAの天野之弥事務局長と佐藤雄平福島県知事の署名式だとわかると説明会はさらに紛糾した。

「私たちはIAEAが福島に来ると知って勉強した。一九五九年にWHO(世界保健機関)とIAEAが結んだ協定を知っているのか」

 五〇代女性がそう質問すると、外務省は何と「五九年の協定については知りません。不勉強ですみません」と回答した。

 この協定で健康調査の主導権はIAEAに移った。二〇〇九年にはWHOの被曝の専門部局も廃止。WHOは被曝問題に関して、公平な評価をしていないと、批判する団体や医師も世界に多い。

 また、「福島県とIAEAの覚書の詳細は何だ。健康に関してどのようなことを始めるのだ」(五〇代男性)という問いには「詳細は知らない」と明らかにされなかった。

 一二月一五日の本会合の署名式で明らかにされた内容に筆者は驚いた。覚書にある「人の健康の分野における協力に関する福島県立医科大学とIAEAとの間の実施取り決め」の部分である。

「IAEA憲章上の任務を尊重しつつ知的財産は相互に協議」

「他方によって、秘密として指定された情報の秘密性を確保」

「両当事者は、日本国政府が六三年四月一八日にIAEAの特権及び免除に関する協定を受諾したことに留意」

 六三年協定は、IAEAの財産などに関する訴訟・捜索・税等の免除や、IAEA職員及び専門家への外交特権付与が主な内容だ。

 協力関係といいながらIAEAにかなり主導権、特権がある取り決めではないだろうか。しかも資金の項目は「日本国政府からの資金の利用可能性に従う」とある。

 福島閣僚会議には約一二〇カ国が参加し、代表演説を四六カ国が実施。内容は「この会議はアフリカにとって重要。わが国も原発はないがこれから作りたい。そういう国々にとって重要」(ザンビア)、「福島原発にもウランをたくさん輸出した。これからももっと輸出していく」(ナイジェリア)、「津波と地震でたくさんの方が亡くなったが原発事故では一人も亡くなっていない」(エジプト)など、アフリカをはじめ、米国、ロシア、韓国など原子力推進の演説が続いた。

 筆者は一一月六~八日に行なわれたOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)会議も取材し、国立研究機関の研究者にこんなことを囁かれた。

「福島で原発事故があったが、世界ではこれからも原発がどんどん作られる。これからアフリカに作るため、住民にどうやって受け入れさせるかを考えている。そのことを踏まえて記事を書いてほしい」

 OECD会議では福島県住民にヒアリングして「住民は原発事故にあったが素晴らしい価値観と巡りあえたという。それは故郷を大切にしたいという気持ち。自分の手で除染をして住み続けたいという気持ち」とまとめられていた。

 IAEAが福島に入る真の意味は何か。覚書に署名をした佐藤知事に対し、筆者は「地元説明会で県民は原子力推進のIAEAに自分らの健康を評価されたくないと過半数が言っていたが」と質問した。知事の回答は「……ご理解していただくしかありません」だった。

(おしどりマコ・自由報道協会理事、LCMプレス、12月21日号)

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