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イタリアの環境保護活動家 モニカ・ゾッペさんインタビュー――脱原発、日本もできるはず

2013年1月11日5:25PM

モニカ・ゾッペさん。イタリア国立研究機構の臨床生物学研究員。伊環境保護NGOレーガンビエンテやパグウォッシュ会議のメンバー。(撮影/齋藤ゆかり)

 昨年六月、脱原発派が圧勝したイタリアの国民投票は日本でも大きく報道された。「私たちにできたことが、広島、長崎、福島を経験した日本の人たちにできないはずはない」。そういう声もしばしば聞かれるイタリアから、一五日からの「脱原発世界会議2」で来日する環境保護活動家で生物学者のモニカ・ゾッペさんに話を聞いた。

――日本でも昨年から注目を集め始めた国民・住民投票だが、署名を多数集めても地方議会で却下にされる例が相次いでいる。イタリアのシステムはどんなもの?

 イタリアの国民投票は、既存の法律の廃止の是非を問うもの。まず有権者の署名を四〇万集めて申請し憲法裁判所の判断を仰ぐ。複雑な長いプロセスで、近年は投票率が五〇%を超えず無効になることが多かった。昨年は原発や水道サービス民営化などを対象に投票率は六〇%弱で、うち九四%が脱原発を求めた。

――福島の事故の影響は?

 確かにあったと思うけれど、脱原発自体は一九八七年の国民投票で決まっていたこと。今回はそれを反故にしようとする政治の動きに国民がノーと言った。

――一九八七年と言えば、チェルノブイリの事故の翌年?

 そう。前回も、国民投票への動きは事故以前からあった。日本ほどではないにせよ、イタリアは地震国で原発は危険すぎるから。チェルノブイリからの放射能で北伊にも農産物の出荷制限が出て、一般市民の関心と危機感が急速に高まった。折しも環境保護運動の開花期で、国民投票では八割が原発に反対した。

――この国民投票がイタリア社会にもたらした変化は?

 環境団体や市民グループによるキャンペーンが各地で大々的に繰り広げられ、人々の意識覚醒や情報拡散に著しく貢献した。今思えば、あそこで原発依存への道を断たれたおかげで、当時はまだ実用化されていなかった太陽光や地熱の開発が大いに加速したと言える。今の世界も、原子力推進に携わる優秀な頭脳が再生可能エネルギー開発のほうに捧げられていれば、もっと飛躍的な進歩が遂げられるのにと思わずにはいられない。

――以後、脱原発は順調に?

 順調という言葉は、残念ながら、いったん原子力を採用した国には使えない。イタリアも然り。二〇〇三年には、南伊のスカンツァーノ・イオニコに核廃棄物保管所の建設計画が浮上、女たちを中心に激しい住民反対運動が起こって中止に追い込んだ。でも、廃炉から二五年たつのに恒久的保管場所は未定のまま。原発が四基しかなかったイタリアでさえ、このように問題はきわめて深刻である。

――イタリアが脱原発できたのは、原発大国フランスから安価な電力が買えるからという主張もあるが。

 イタリアが買っているのは、フランスが叩き売りせずにはいられない余剰電力。電力が足りないから買うのではなくて、原発で作りすぎになるから消費せざるを得ない本末転倒の構造だ。

――脱原発を選んだイタリアと原発依存度世界一のフランスは、隣国なのに、かなり違う?

 フランスは、原発国民投票の経験がないのでは? どの程度情報が国民に公開されているのかも疑問だ。半世紀以上も解決できる、できると言いながら、まだ安全な保管方法が見つかっていない核廃棄物や、放射能被害がもたらす経済的損失を考えればなおさら、原子力がもはや何の利点もない選択であることは明らか。加えて、原発には軍事利用の意図がつきまとう。広島、長崎の悲惨な体験をもつ日本は、この点でも脱原発を切望して当然だと思う。

 フランス人と国民性が違うのかどうかはわからないが、私たちイタリア人は、あるもので満足する傾向が強いのかもしれない。でも、それでイタリアの生活水準が低いかというと、そんなことはない。

 たった一つしかない地球の有限な資源をいかに平等、有効に利用し将来に残していくか、一人ひとりが、そして人類全体が真剣に模索していく以外に道はないと思う。

(聞き手/齋藤ゆかり・在イタリア翻訳家、12月14日号)

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