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20~30年以内に現実化の可能性――「殺人ロボット」の禁止を

殺人マシンを操作するのは今は人間だが……。(提供/ヒューマン・ライツ・ウォッチ)

 ハリウッド映画さながらのロボット代理戦争が実現する前に禁止しなくては――。

「殺人ロボット」とも呼ばれる未来兵器は、人間の指示なしに標的を選び発砲できる。国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(URL hrw.org/ja)は先月、「失われつつある人間性(Losing Humanity)」と題する全五〇ページの報告書を発表。「殺人ロボット」が実戦配備される前に禁止を、と警告を発した。NGO発表の初の本格的出版物だ。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチ武器局局長のスティーブ・グース氏は「マシンが戦場での人間の生死を決めるなど、テクノロジーの度を超えている。完全自律型兵器の開発・製造・使用を全面禁止する国際条約の制定が必要だ」と語る。

 マシンが人間の部隊に取って代わることで兵士の命は救えるが、戦争という選択が容易になり、結果として一般市民に紛争の重荷が転嫁される。完全自律型兵器は一般市民の殺害に関して、合法か違法かを判断する人間の能力を欠いている上に、市民が殺害されても、プログラマーなど人間の責任を問うのが困難であるがゆえに国際法違反行為を抑止する法の力を弱める危険があるからだ。

 戦場でのマシン自律化に向け先駆型の開発・配備が進む現代。技術開発の先頭に立つのは米国で、中国、イスラエル、韓国、ロシア、英国などが続く。完全自律稼働兵器はまだ実在せず実戦配備決定もされていないが、専門家は二〇~三〇年以内に実現すると見る。

 国家の武器庫に殺人ロボットが姿を現す前に、開発を止めることが肝要だ。さらなる巨額投資が行なわれた後では、あきらめるよう説得するのはより困難になる。

 また、日本を含む各国政府が、国内レベルでのこうした兵器の開発・製造・使用を防ぐ施策を早急に取ることも必要だ。

(土井香苗、ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表/弁護士、12月14日号)