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過労死の企業名開示認めず――大阪高裁が逆転判決

2012年12月20日5:29PM

 労災認定された過労死事件の企業名を公開させるべく、遺族が国を相手に起こした情報公開請求訴訟の控訴審判決が一一月二九日、大阪高裁で言い渡された。山田知司裁判長は、法人名を公開すれば「被災者の個人情報が特定できる恐れがあり、企業の社会的評価が下がる」と断じ、国の不開示決定を違法とした一審の大阪地裁判決を取り消し、原告敗訴の逆転判決を下した。原告は上告する方針。

 原告を務めるのは「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(六三歳)。「過労死をなくすには、問題のある企業を社会的に監視する必要がある」と、情報公開法にもとづき過労死認定された社員がいる企業名の開示を大阪労働局に請求したが、不開示決定された。昨年一一月の一審判決は、企業名を公表しても(1)一般人が被災者の個人情報を入手するのは困難であり(2)企業が直ちに取引先の信用を失うとはいえない――と述べ、法人名を黒塗りした国の不開示処分を不当と判断し、公表を命じていた。

 大阪高裁の逆転判決は、大阪労働局管内で記録処理された法人のうち四二・八%が従業員三〇人未満の少数事業所であり、病名などを照合すれば個人が特定できる可能性が高いと指摘。さらに情報開示に伴う「企業の不利益」については、労働局のアンケート調査に回答した府内三四六社の七九%が「不利益が生じる」と答えていること、新聞報道やインターネットの投稿では「過労死の発生=ブラック企業」と評価されることをあげ「開示すると会社の社会的評価が下がり、正当な利益を害する蓋然性がある。労基署の調査にも協力を得られない」と結論づけた。

 判決後に記者会見した原告弁護団の松丸正弁護士は、「過労死を発生させた企業の不利益を必要以上に配慮した不当な判決だ。再発防止に向けた労使協議を促進し、職場環境を改善するには、企業名を明らかにすることが不可欠であるのに、それを怠る国の責任を不問にしている。これでは過労死はなくならない」と批判した。

(村上恭介・ジャーナリスト、12月7日号)

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