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地権者との土地賃貸借契約は未締結のまま――市が一方的に焼却灰を搬入

2012年11月2日2:33PM

 東日本大震災に伴う瓦礫の受け入れを表明している静岡県島田市で一〇月一一日、市のゴミ最終処分場になっている民有地の地権者が、「土地賃貸借契約書をまだ交わしていないのに、市が勝手に瓦礫の焼却灰を持ち込んだ」と抗議して処分場にロープを張り、市の生活ゴミ搬入作業を拒んでいる。

 島田市はこの二月、受け入れた瓦礫の試験焼却を実施。さらに五月に瓦礫を焼却した分計一六トンの瓦礫の焼却灰を処分場に持ち込み、シートで覆った。これに対し、処分場がある市内坂本地区の住民や周辺の茶畑農家が、「原発事故後、持ち込まれた生活ゴミからもセシウムが検出されている。瓦礫の焼却灰が持ち込まれれば、水道用に使われている付近の大井川がさらに汚染される」と反発。

 処分場を所有する地権者も、三年ごとに行なわれている市との土地賃貸借契約が切れる三月末前に、市が「生活ゴミ単独では契約しない」との姿勢を示したため、「島田のゴミは受け入れるが、汚染された瓦礫の焼却灰は認められない」と、新たな契約を拒否していた。市は八月の契約交渉時にも、震災瓦礫の処理を実施することを前提とした覚え書きを提示したため、現在まで両者は未契約だ。

 だが市は「契約は継続している。理解を求めたい」としながら、生活ゴミの搬入を続け、地権者側は、「一〇月一日より、この土地への立入を禁止します」との看板を掲げた。しかし市の搬入が止まらないため、ロープを張って現在も阻止行動を続けているもの。

 なお静岡県は一〇月一八日にも、岩手県の震災瓦礫計四六トンを島田や静岡など四市に搬入する予定。今後の島田市の対応が注目されるが、岩手県は一日約一〇〇〇トンの瓦礫処理能力があるとされる。このため、わざわざ遠方に搬入してセシウムを拡散するだけの広域処理に抗議し、静岡県内では中止を求める署名運動が起きている。

(成澤宗男・編集部、10月19日号)

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