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在日中国人に罵詈雑言を展開するも取材は拒否――在特会が池袋で「反中デモ」

2012年10月17日3:50PM

「在日特権を許さない市民の会(通称「在特会」。桜井誠〈本名=高田誠〉会長)など約一〇の排外主義団体が九月二九日、東京・池袋に集まり、総勢およそ二〇〇人で「史上最大の反中デモ」と称するデモと、在日中国人に対する嫌がらせ行為を展開した。

 尖閣諸島の領有権をめぐって日中間の緊張が高まる中、日中国交正常化四〇周年のこの日は国内外一〇社ほどのメディアが彼らの「運動」を取材。香港に本社を置く中国語圏向け放送局「鳳凰衛視」も、「今の日本に必要なのは差別と暴力」「(中国の反日暴動に)報復しろ!」「ゴキブリシナ人を日本から叩き出せ」などと叫ぶ参加者や、沿道の人々の反応を拾っていた。

 デモ隊は一時間あまりかけて東池袋中央公園付近を一周したのち、「ここからはデモではなく自主パトロールだ」と称して、華僑系の商店が連なる池袋駅北口から西口界隈へと移動。池袋警察署は道幅の狭隘なこのエリアでの道路使用を許可していたかどうかを明らかにしていないが、そこを同じく二〇〇人前後が練り歩いた。 

 中国人が経営する食料品店の店先では、「ここがシナマフィアの巣窟です!」「日本が戦前大陸に行ったことが侵略なら、てめえらが日本にいること自体が侵略なんだよ!」などの暴言を、「デモでもなんでもない、ただの声の大きな独り言」(在特会・桜井誠会長)と嘯いては執拗に繰り返した。威力業務妨害に該当してもおかしくない状況と思われたが、警官隊は在特会らに店との一定の距離を取らせることにのみ専念。彼らの罵声は完全に黙認していた。

本誌2010年3月12日号ではインタビューに応じた桜井誠氏(左)。今回は取材拒否となった。

 沿道から拍手を送る人もまばらにいた一方、感想を尋ねた人の多くは「本当に領土を守りたいなら言う相手が違うのでは?」(周辺に住む六〇代女性)、「全く建設的でない。単に中国人が嫌いという感情しか見えない」(買い物に来ていた三〇代男性)などと評していた。

 一連のデモ、パトロールが終了してしばらくしたところで、筆者はTwitterに「胸糞悪い光景だった」と感想を書いた。するとその約三〇分後、在特会の会員から「桜井会長以下、在特会の会員が豊島区民センターの会議室に集まっている。言いたいことがあるなら直接言いに来たらどうか」とのリプライ(返答)があったため、すぐに教えられた場所に赴き、桜井会長に取材を申し込んだ。

 すでに頭に血が上っていたらしい桜井会長は、筆者が到着するなり「胸糞悪いならなぜ取材に来た!?」と詰問。筆者が「胸糞悪い現実があるならそれも現実として伝えるのが私の仕事」と答えると、二年前に筆者が本誌で行なった二時間インタビューで「相手がどんな立場だろうが取材は受ける」と誇らしげに語ったことも忘れたのか、「俺たちが嫌いなら最初に言わないのは卑劣だ」との理屈を持ち出し取材を拒否。「もういい! 帰れ!」と逆上した。

デモでは中国食料品店に対し、ヘイトスピーチが展開された。(撮影/古川琢也)

 筆者が「私はあなた方に呼ばれた立場ですよ?」と拒むと、今度は側近の奥田洋平千葉支部長が筆者の胸を小突き、腕を掴んで押すなどしたほか、警備員を呼ばれた末に力ずくで追い出された。在特会のネット放送によると、その後彼らは池袋署に駆け込み、筆者に不退去罪の適用を求めたということだが、本稿校了時点で筆者に池袋署からの出頭要請などはない。

 数百人で一商店を取り囲み、罪もない一般中国人を「人殺し」「ゴキブリ」などと悪罵する人々が、たかがフリーライター一人の訪問、「胸糞悪い」の一言にかくも取り乱すものなのか。その場その場で自分たちに都合の良い言辞を弄しては引き起こされる自家撞着ぶりに、今さらながら唖然とするほかなかった。

(古川琢也・ルポライター、10月5日号)

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