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オスプレイ「安全宣言」への疑問――「飛行ルートの事前説明ない」

2012年10月11日2:54PM

 今年だけでモロッコや米フロリダで墜落事故を起こしている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、日本政府は九月一九日、「安全宣言」を出した。二八日にも沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場に配備を強行する見通しだ。

 防衛省と外務省が発表した「安全宣言」は墜落事故について「機体自体に問題がない」と従来の主張を繰り返し、「可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるよう設定し、可能な限り海上を飛行する」と「可能な限り」を強調。また「夜間訓練飛行による普天間飛行場周辺住民への影響を最小限とする」としている。

 しかし一九日、参議院議員会館で開かれた市民団体らの会見で、真喜志好一氏(沖縄平和市民連絡会)は「(夜間訓練について)この約束が沖縄で守られたことがあるか」と疑問を呈した。

 一方、山口県では二一日からオスプレイの試験飛行が始まっている。岩国幼稚園の園長、大川清さんは「なるべく市街地は飛ばないという合意があるにもかかわらず、下関市では初日から市街地を飛んでいた」と指摘。下関市によれば「飛行ルートの事前説明はなかった。山口県を通して防衛省に飛行ルートの明示を求めている」(総合政策部)という。

 関門海峡を挟んで向かいに位置する福岡県北九州市も「九州防衛局を通じて訓練時間帯や飛行ルートの情報提供を求めていたが、なかった」(総務課)としている。

 二四日には参議院議員会館で「オスプレイの沖縄配備に反対する学者・文化人共同声明」の会見が開かれ、沖縄大学名誉教授の新崎盛暉氏らが出席。沖縄への配備は「構造的差別」であると批判し、「戦後日本の在り方」の転換を迫った。声明の賛同者には新川明氏(『沖縄タイムス』元会長)や大江健三郎氏(作家)、岡本厚氏(『世界』前編集長)、平井康嗣・本誌編集長らが名を連ねている。

(野中大樹・編集部、9月28日号)

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