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民主党内融和を優先する輿石幹事長が続投――離党者数次第で衆院解散か

2012年10月10日6:47PM

 野田佳彦首相が六割を超える票を集めて再選を果たした民主党代表選(九月二一日)だが、党員サポーターの投票率が三三・七%と昨年に比べて半減するなど、全く盛り上がりに欠けたものとなった。

 今後の焦点は、民主党内からどれだけの離党者が出るか、である。七〇名以上の離党者を出した民主党は現在、衆議院議員二四七人に激減し、過半数割れまであと七人。しかも民主党内には二〇人から三〇人の離党予備軍がいる。過半数割れすれば、内閣不信任案が可決され、野田内閣は解散に追い込まれるため、離党者をこれ以上出さないことが政権運営上の必須課題だ。マスコミは「圧勝」と一斉に報じたが、党内情勢に目を向けると、崖っぷちまで追い詰められているのである。

 代表選は有力候補となるとみられた細野豪志環境大臣が出馬を断念、赤松広隆元農林水産大臣と原口一博元総務大臣と鹿野道彦前農水大臣の三候補もTPP(環太平洋戦略経済連携協定)参加や消費増税に慎重・反対の立場でほぼ一致するのに予備選で一本化されず、顔ぶれが出そろった時点で野田首相再選が確実視された。

 それでも、野田首相の得票率は七割に達しなかった。首相の八一八ポイントに対し、反野田三候補の合計は三九〇ポイントで全体の三割を超えた。反野田陣営が一本化に成功していれば、党員サポーターの投票率が去年並みにまで上がり、相当な接戦となっただろう。

 野田首相は代表選後、融和路線に舵を切った。いったん輿石東幹事長の交代を決意したものの、反野田陣営の得票が三割を超えたのを目の当たりにして、一転して続投を決めたとみられている。これ以上の離党者を出さないためには、党内融和をモットーとする輿石幹事長が適任と判断したわけだ。

「輿石幹事長は去年一一月、野田首相がTPP参加表明をしようとしていた直前、TPP慎重派の山田正彦元農林水産大臣の直訴を受けて野田首相を説得、参加表明を思い止まらせたという実績もある。その結果、TPP慎重派の離党者が続出することは避けられた」(永田町ウォッチャー)

 政権の弱体化を見越して反野田勢力は当面、党内に止まって消費増税や脱原発政策やTPP参加など主要政策での軌道修正を野田首相に迫っていく考えのようだ。

 たとえば、TPP参加について原口氏と赤松氏と鹿野氏の三人は反対や慎重な立場。「野田総理は代表選でTPPに触れて交渉参加するのでは」という報道もあったが、強行すれば、TPP慎重派が集団離党して民主党政権が瓦解するのは避けられない。簡単に交渉参加に踏み切れないのが実情だ。

 消費増税に慎重で脱原発政策でも首相と溝があることから「代表選後に離党する」とみられていた原口氏も、代表選後の記者会見で「短気を起こさず、離党する議員がいれば説得する」と方針転換。一方で「同志的な集まりをさらに強固にする会をつくりたい」とTPPや脱原発を議論する勉強会を立ち上げる考えを明らかにした。

 党代表選で原口氏の選対本部長を務めた川内博史衆院議員(鹿児島一区)も一五日、「首相が再選され、現状のままの政権運営や政策が続くなら、次の総選挙は民主党から出るつもりはない」と離党の可能性を口にした。消費増税法案に反対して党員資格停止二カ月の処分を受けた川内氏も離党予備軍の一人だが、代表選直後「われわれ(原口陣営)は負けたが、野田氏の奴隷や家来になるわけではない」と強調。野田首相に「集団離党」というカードをちらつかせながら、脱原発政策やTPP参加など主要政策を変更するか否かの“踏み絵”を踏ませようとしている。

 反主流派の“攻勢”が強まる中で野田政権は、矛盾や抜け道だらけではあるものの「二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す」方針を打ち出した。米国や経済界の反発ですぐに骨抜きとなったが、多少は民意を反映しようとする姿勢を見せ始めた。民主党の脱原発政策がどこまで具体化するのか。野田首相支持派と反主流派の綱引きに今後も注目していく必要がある。

(横田一・フリージャーナリスト、9月28日号)

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