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原告団266人が提訴――東海原発の廃炉を

2012年8月30日4:55PM

「収束していない福島事故で地元住民は切り捨てられた。同じ痛みとして感じながらともに生きていけるのか、それを問う裁判です。原告らの顔つきを見てほしい」

 東海第二原発(日本原子力発電、以下原電)運転差し止め提訴の原告共同代表である常総生活協同組合副理事長の大石光伸氏は提訴後の会見で述べた。七月三一日、茨城県水戸地裁に原告団二六六人が東海第二原発運転差し止めを求め提訴した。現在、弁護団は七一人、賛同会員は四九二人に達している。

 訴訟の特徴は(1)東海第二を運転する原電に運転停止を求める民事訴訟であること(2)国に対して原子炉等規制法に基づく原子炉設置許可処分に対し処分の無効確認を求める行政訴訟(3)改正後の原子炉等規制法に基づいて運転停止の義務付けを求めること――の三点だ。

 原電には運転停止を求め、国には福島事故を念頭に今までの安全指針には効果がないことを認めさせ、新しく作る原子力規制委員会に運転停止を命じさせることを訴える。原告団は問題となっている規制委員会人事案に対しても原子力委員会設置法の趣旨に反するとして国に人事撤回の要請書を提出した。

 3・11で放射能汚染の影響を受け、地元原発も事故一歩手前だった茨城県ではこれまで、一七市町村の首長と議会が東海第二の再稼働に反対する意見を採択。

 訴状提出前の集会で原告団共同代表の相沢一正氏は「3・11以降、東海第二の廃炉を考える運動と連携して、裁判が準備され今日に至っている。脱原発運動を広げることで裁判を盛り上げ闘っていきたい」と話し、弁護団共同代表の河合弘之弁護士は「原発訴訟は全部負けてきた。なぜか? それは原子力ムラが四〇年間大金をかけてやってきた原発安全キャンペーンが国民だけでなく裁判官にも染みわたっていたからだ」と述べた。

 集会後、原告らは訴状を携え水戸地裁までデモ行進。福島事故で避難を余儀なくされた人、JCO臨界事故(一九九九年、作業員二人が死亡)を体験した人などさまざまな背景を持つ人がデモに参加した。

(中村ゆうき・ライター、8月10日号)

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