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「君が代強制」に触れた教科書――都教委が採択妨害か

2012年8月16日12:43PM

「公務員への君が代強制問題」を記述した教科書の選定に対して、東京都教育委員会が妨害とも取れる行為をしていることが、都立高校関係者らへの取材でわかった。

 二〇一一年度の文科省の検定に合格し、一三年度の一年生から使用される実教出版『高校日本史A』の国旗国歌法に関する注記は、「日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述している。

 これに対し三月二八日付『産経新聞』は「不適切記述パス 基準疑問」との見出しで実教出版を名指しし、前記の記述を非難。その後も非難し続けた。

 都立高校で使用される教科書は、五月から六月に教科書会社から送られてくる次年度の見本本を各校の教科担当教諭が調査し一社に選定。教科書選定委員会(責任者は校長)で決定し七月下旬、都教委指導部に報告され、教育委員会の会議で全校一括採択される。

 複数の教諭によると、今年五月ごろ、都教委高校教育指導課の増渕達夫課長は、全校長が出席する連絡会前に開催された幹事会で、前記の『産経』の記事に触れ「教科書の選定は公平公正にやるように」と発言。その後、同課は『高校日本史A』を現在使用している数十校(職業科・定時制等)の校長にメールや電話で「あの記事のことはご存じですか」などと暗に圧力をかけたという。その結果、校長が独断で選定教科書を変更したり、若手教諭が校長に他社版への変更を迫られたりした、と明かす人もいる。

 琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は「検定に合格した特定の教科書を『選定するな』と言うのは職権乱用、実教出版への営業妨害等に当たる」と警告している。

 高校教育指導課に事実確認すると、「肯定も否定もしない」(担当職員)と答えた。

(永野厚男・教育ライター、7月27日号)

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