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防衛省作成のパンフレット――オスプレイの記述に誤認

2012年7月26日5:25PM

 米軍が沖縄への強行配備を狙っているオスプレイの安全性に関し、防衛省が作成したパンフレットに重大な誤認と見られる記述がある。

 沖縄県の各自治体などに配布されている『MV-22オスプレイ 米海兵隊の最新鋭の航空機』と題したこのパンフレットでは、「飛行中に両方のエンジンが故障した場合、オスプレイはどうするのですか?」という質問に対し、「垂直離着陸モードに移行してオートローテーションを行うことになります」と回答している。

「オートローテーション」とは、飛行中にエンジンが停止した場合、風力だけで回転翼を回して着陸する機能。米海兵隊の準機関紙『マリン・タイムズ』は二〇〇七年一〇月一四日号(電子版)で、同年に米『タイム』誌がオスプレイについてこの機能がなく「欠陥機」と批判したことに対し、「オートローテーション機能はヘリコプターの標準整備で、オスプレイはヘリコプターではない」という海兵隊広報部の「反論」を掲載しているが、機能がない点は認めた形だ。

 事実オスプレイは、このために米連邦航空局(FAA)が定める飛行の安全性を確保する基準(耐空性基準)を満たしていない。軍用は可能だが、回転翼の長さがヘリコプターの六割程度しかない半面、自重が二倍近くあるので、「オートローテーション」で着陸する構造ではなく、事故時の安全性が最初から期待できないのは自明だ。

 防衛省は「オートローテーション」の有無に関する本誌の問い合わせに対し、「米国防総省と協議してパンフレットを作成した」としか回答していない。独自に事実関係を調査してみるべきだ。

(成澤宗男・編集部、7月13日号)

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