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異様な光景に住民から抗議の声――陸自部隊が白昼訓練を強行

抗議する住民ら数百人の間を小銃を携行し歩くレンジャー隊訓練生たち。「なぜ市街地を武装して歩く必要があるの?」と住民の一人は訝った。(撮影/片岡伸行)

 六月一二日朝、東京・板橋区の都営三田線西台駅前。顔を黒く塗り、迷彩服で小銃を肩から下げたレンジャー隊員が、通勤時間帯の市街地に現れた。

 その異様な光景に市民団体や近隣の住民、通行人らから驚きと抗議の声が上がる。「市街地で訓練はやめろ!」「訓練は基地内でやれ!」。「被災地支援ありがとう。でも市街地での訓練はやめて」と書かれた横断幕も。

 陸上自衛隊レンジャー部隊の白昼行進訓練は「平和的生存権や平穏に生活する権利などを脅かす違憲行為」として、行進コース近隣の住民が中止を求めた仮処分事件で、東京地裁(福島政幸裁判長)は一一日、平和的生存権に「具体的な権利性を認めることはできない」として訓練を容認する決定を出した。訓練は住民の抗議によって規模が縮小されたものの、予定どおり一二日に実施された。

 陸上自衛隊第一普通科連隊(隊長=石井一将・一等陸佐)は、六日に行なわれた住民説明会で計画内容の変更を説明。東武練馬駅前周辺の商店街をコースから外し、参加訓練生の人数を三〇人から一七人に。他方、誘導員は六人から二五人に増員した。しかし小銃装備で白昼に市街地を行進する目的が曖昧なことから、説明会では住民から強い反対の声が上がった。

 申立て人は仮処分却下後に声明を出し「一定の歯止めがかけられたことは、本仮処分の一つの成果」としながらも、訓練の強行を強く批判。「憲法九条の精神に反した同訓練の危険性や住民無視の防衛省・自衛隊の姿勢を問う必要がある」(種田和敏弁護士)とし、本訴訟提起も視野に入れている。

(片岡伸行・編集部、6月15日号)

各大学で消費税増税の必要性を講義――財務省が省を挙げて“宣伝活動”

 財務省が省を挙げて展開する全国の大学での消費税増税“宣伝活動”に疑問や批判の声が上がっている。ある国立大学の職員が言う。

「国会で審議中の法案それも賛否が分かれている法案について、国家公務員が大学の正規の講義の時間に、一方の立場から宣伝活動をすることは法的に許されるのか」

 問題の活動を展開しているのは今年一月から動き始めた財務省の一体改革情報発信対応室(室長・佐藤慎一総括審議官、七人)だ。

 同室担当者が言う。

「これまでも大学側からの要望で職員が出向くことがありましたが、今回は財務省の方から全国すべての大学にお願いをし、協力していただける大学に出向き、講義をさせてもらっています」

 全国の大学数は国公立一六七、私立五九六の計七六三校ある(二〇一一年五月現在)。

 財務省ホームページを見ると、四月一八日の山形県立米沢女子短期大学を皮切りに五月二八日まで、国公立では大阪、香川、お茶の水女子、和歌山、佐賀、福井、岡山、岩手、私立では千葉商科、常磐(茨城県)の計一一の大学で講義済みだが、「紹介されているのは名前を出すことを了解してくれた大学だけ」で、すでに四三の大学で実施済み。講義では、同省主計局や主税局などの職員がパワーポイントなどを使い消費税増税の必要性を説くのだという。

 国家公務員は政治的行為が制限される(国家公務員法第一〇二条)。具体的には人事院規則によって「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること」(規則一四一七第五項)は禁じられている。

 前出の大学関係者は「学問の自由」(憲法第二三条)や政治的中立を謳う教育基本法に反するのではないかとし、こうした宣伝活動を受け入れる大学側の姿勢も疑問視する。が、同室担当者は言う。

「そういう声も(ほかから)聞いていますが、政府として法案に理解をいただくための広報の一環なので、問題はないと思っています。引き続き実施していきます」

 少なくとも国民の過半数が反対する増税法案。「政府の広報」という大義をつければ、反対する国民の税金を使って「特定の政策」への国家公務員による組織的な世論誘導・操作は許されるのか。

(片岡伸行・編集部、6月15日号)