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「一括交付金」でも、辺野古移設は許さない――沖縄県議選、与党過半数ならず

 日米両政府がこだわり続ける普天間飛行場の辺野古移設は、いっそう困難になるだろう。

 六月一〇日に投開票された沖縄県議選。獲得議席は与党二一人(自民一三、公明三、無所属五)、野党二一人(社民六、共産五、社大三、無所属その他七)、中立系六人(民主・国民新・そうぞう各一、無所属三)となり、仲井眞弘多知事がめざした与野党逆転はならず。多くの県民は、普天間移設問題を最大の判断材料とし「県内移設ノー」という意思を反映する議会勢力の維持を選択した形だ。

 仲井眞知事は結果を受け「一括交付金が追い風になると思ったのに」と、憮然とした表情で語った。

 国政与党である民主党は、県政与党への傾斜を強めつつあることも相まって県民の視線は厳しく、かろうじて一議席を得たのみ。与党入りしても大勢に影響はない。

 投票率は前回県議選より五・三三ポイントも下がり過去最低の五二・四九%(最大選挙区の那覇市は四八・一二%)を記録。与野党問わずほとんどの候補者が県内移設反対などを打ち出したため選挙の争点が見えづらかったことに加え、若年層の政治不信を反映したものだ。それでも「低投票率は保守に有利」という定評は覆された。これは投票した人々の意識の高まりを示している。

 注目の名護市区では、企業ぐるみで期日前投票に送り込むという基地誘致派の従来のやり方を踏襲した与党の末松文信氏(前副市長)と、「稲嶺進市長との二人三脚」を前面に打ち出した野党の玉城義和氏が当選。一方、民主党がバックアップした玉城健一氏は落選した。政権の「辺野古回帰」に抗議して民主党を離党した山内末子氏(うるま市区)は厳しい戦いを強いられたが議席を守った。

 県議選の結果は、政府の公有水面埋立申請に対する仲井眞知事の対応や七月を予定しているオスプレイ配備にも影響してくる。

(浦島悦子・フリーライター、6月15日号)

「不退転」の野田首相がつまずく消費税政局――会期内の法案成立は絶望的か

 第一週の政局攻防を終えた六月八日、知り合いの民主党代議士から「政局複雑、悩むばかりです」との短いメールが寄せられた。

 つまり永田町のド真ン中の住民からも、政局の見通しは視界不良だというのだ。ほんの一歩先も見えづらい状況になっている。

 それはわれわれジャーナリストなど外部から見ても同じこと。そこで少しでもこの事態を読み解いていくためにも、事実関係を整理していくことが必要になる。

 まず、この与野党の複雑な思惑が入り混じる消費税政局……これをこじらせているのが、A「官邸による小沢切り=小沢グループの造反・離党はあるのか?=小沢グループの官邸への譲歩はあるのか?」、B「自民党が法案に賛成するのか=民主党は自民党の提案を丸呑みするのか。民主党マニフェストの柱、最低保障年金などを取り下げるのか?=自民党が早期解散を求めて内閣不信任案堤出はあるか?」と、自民党と小沢グループをめぐる大きくふたつのファクター(これを水面下の駆け引きと言い換えてもいいだろう)である。

 この基本的な対立構図を前提にしつつ、かりにこの通常国会の会期末(六月二一日)までに「不退転の決意」で採決まで持ち込もうとするとき“野田目線”で見渡していくと、(1)与野党修正協議(六月一五日にも結論か)が合意するのか。(2)与野党修正協議が合意に至ったとして、民主党内での修正案審査が合意できるのか。(3)修正法案の委員会採決。(4)衆議院本会議採決。こうしたハードルが矢継ぎ早に野田佳彦首相の目の前に現れては消え、そして息をつく間もなく、次々と飛び越えていくことが求められるのだ。

 このときファクターAは、特にハードル(4)のとき影響を与える。

 現在、与党会派「民主党・無所属クラブ」が二八九議席(五月九日現在)として、これが議長を除いた過半数二三九議席を割るまで、あとたった五〇議席。小沢グループのうち、増税法案に慎重な中間派があわせて五〇人造反し、除名(離党、新党結成)となった場合、与党は過半数割れとなる。

 こうなると参議院ねじれどころか、衆議院においても、自民党の協力なくして法案はなにひとつ通過しなくなる。ならば内閣不信任案の可決も射程に入ってくる。

 この最悪の状態に陥ることを野田首相が覚悟し、党分裂止むなしの「不退転の決意」で採決に臨んだとき、その結果は(1)自公が賛成して法案成立=野田+谷垣禎一両氏の、財務相経験者による修正協議が合意したとして、消費大増税パーシャル連合成立へ。(2)自公の賛成に至らず否決→増税に政治生命を賭けた野田首相は、解散総選挙or総辞職(総辞職の場合、民主党代表選挙が前倒し実施)。

 以上のほぼ二つに絞られる。

 こんな複雑な視界不良の政局状況のもと、野党との修正協議(さらに民主党党内合意)も、六月一五日までに落とし所を見いだせそうにない。

 しかも、メディアがそもそも「採決、採決」と騒いでいるのは衆議院の話であり、法案は参議院で可決しないと成立しない。つまり通常国会会期内の法案成立は絶望的なのである。

 そこで急浮上してきたのが七月中ぐらいまでをめどに小幅の会期延長をし、会期中に衆議院本会議での採決をし、ひとまず通過させる。そして法案は継続審議にして通常国会は閉会へ。次期国会(臨時国会)で参議院ではダラダラと審議し通過させ、再び衆議院で可決するという道筋。一転、参議院で否決されたら廃案だが、野党が賛成に回れば成立へ。ただし継続審議の法案は会期をまたいだ場合、参議院で可決しても、再び衆議院で審議が必要と……こんな具合で民主党執行部では「先延ばし」のための秘策を練っていると聞く。

 そして先延ばしをしている間に、予算関連法案(特例公債法)、政治関連法案(議員定数や選挙制度)をのらりくらりと処理していく。こうすることで、解散総選挙の先延ばしをも図り、同時に消費税増税による反民主世論のダメージコントロールを試みていく狙い。そうなれば法案成立は来年の通常国会までずれ込む可能性もある。

(小谷洋之・ジャーナリスト、6月15日号)