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福島原発告訴団の思い(7)最終回 地脇聖孝さん

7回にわたる連載も、今週号でついに最終回。本欄では、あえて刑事告訴を決意した福島県民たちのさまざまな「思い」を紹介してきた。今年3月の福島原発告訴団結成時に目標として掲げたのは「1000人の告訴人を集める」ことだった。6月2日現在、告訴人の数はすでに1000人を超え、今も増え続けている。本欄で取り上げた福島県内各地の「声」は、告訴状に添えられる「陳述書」へと姿を変え、来週6月11日、福島地検に提出される。

〈品位と責任感の欠如が事故を招いた〉 福島県西郷村在住 地脇聖孝さん(41歳)

 私は団体職員をしています。避難させられた人や、避難せずとも自主的に農業や自営業をやめざるを得なかった人たちに比べれば、生活を保障されています。しかし、それでもなお、私が告訴の決意をしたのは、事故以来1日たりとも忘れることなく、今日もなお続いている凄まじい精神的苦しみを知っていただきたいからです。

 福島原発事故が起きるまで、一度も精神科の門をくぐったことのない私が、事故以降は常に不安に怯え、睡眠薬の手放せない毎日が続いています。事故以降、精神的安定や安息を得たことは片時もありません。

 私が不安を抱えている原因は、事故が起きたことそのものよりも、原子力関係者の事故後の対応にあります。事故が収束しないことや、正確な情報を公表せず、真実を隠そうとする原子力関係者の不誠実な態度に対する怒りと不信こそ、不安の源泉です。

 学者たちは「放射線よりストレスのほうが身体に悪い」と繰り返します。しかしそのストレスも、事故がなければ発生しなかったものであり、原発事故と「不誠実な人々」が原因です。

 原子力そのものの持つ危険性もさることながら、科学技術に関わるすべての人たちの品位と責任感の欠如こそが、この事故を招いたと私は考えます。過去すべての企業犯罪や事故と同様、どんなに安全なシステム・制度・装置が作られたとしても、それを運用する学者や関係者がこの水準では、次の事故は避けられません。

 私は、何の罪もない子どもたちをはじめとする次の世代のために、加害者らに罪を意識させ、この社会から失われてしまった誠実さや責任感といった人間性を取り戻すことを、残りの人生の仕事にしたいと思います。

 高い職業倫理を持つ検察官各位に、ぜひともこの「仕事」を後押ししていただけるよう望みます。

(まとめ・明石昇二郎〈ルポライター〉、6月8日号)