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死刑のない国・ノルウェーから――厳罰化より真相究明を

 刑事司法について、日本とノルウェーの関係者や研究者が一堂に会したシンポジウム「刑事司法を持続可能にするのは何か? ノルウェーと日本の対話」が六月一日、青山学院大学で開催された。二〇一一年七月二二日、ノルウェーで起きた七七人が殺害される連続テロ事件と、日本で起きた地下鉄サリン事件(一九九五年)を比較し、両国の司法制度を検証する試みだ。

 連続テロ事件当時、ノルウェー国内は「不安と恐怖につつまれた」という。だが、死刑制度のない同国では悲惨な事件を受けても、極刑を求める「司法制度改革」の主張はほとんど出なかった。ノルウェーの元法務大臣(在任二〇〇五年から一一年)のクヌート・ストールベルゲ氏は、事件や容疑者の背景を探り、その真相を徹底的に究明することが、厳罰刑に処すことよりも重要だという。

「どの政党も死刑は望んでいない」と言うストールベルゲ氏は、「『死刑』があることで犯罪が予防できるという論調は、何もしなくていいという口実を与えはしないか。『死刑』が偽りの安全保障となっていないか」と死刑の犯罪抑止力論には疑問を呈した。

 一方、日本では死刑制度の存廃は、国民的議論の俎上にすら上がっていない。元法務大臣の杉浦正健氏(弁護士)は、「日本が(死刑制度存置の)最後になるのではないか」と懸念した。

 参審員制度を導入しているノルウェーでは、刑事司法への参加が市民の犯罪への理解を促しているという。裁判員制度施行から三年が経った日本。見直し規定にあたる今年は、制度の是非のみならず、刑事司法全体について議論がなされるべきだ。

(弓削田理絵・編集部、6月8日号)