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望月晴文・元経産次官の豊かな老後を憂う――「保安院の生みの親」日立へ天下り

 日本中が放射能汚染で住めなくなろうが、ワシは知らん。天下り先からカネをもらって豊かな老後を送るのだ――。そう言わんばかりの無節操な「高給官僚」がまたひとり、本性を現わした。

「原子力安全・保安院の生みの親」との異名をとる元経済産業事務次官の望月晴文氏(六二)が、米GE社と縁の深い原発メーカー日立製作所(中西宏明社長)に社外取締役として天下りするというのだ。同社が発表した。六月二二日の株主総会で承認されれば決定する。推定年俸は約二〇〇〇万円。

 望月氏は一九七三年、通産省に就職。幹部になってから一貫して原発を推進する行政運営を進めてきた。中小企業庁長官、資源エネルギー庁長官を経て二〇〇八年七月、事務次官に上り詰める。

 原子力施設の監督権限は、かつて通産省と科学技術庁の双方が持っていた。これを一元化して「原子力安全・保安院」を新設する作業にかかわったのが望月氏だ。原発監督機関を原発推進官庁内に置いて、監督機能を骨抜きにした張本人といってもよい。東京電力の原発トラブル隠し事件では、内部告発したGE元社員の個人情報を東電に漏らすという不正をやって厳重注意処分を受けた。

 その程度では懲りずに原発業界を喜ばせる言動を続ける。次官昇任前の〇七年四月一九日、参議院経済産業委員会に政府参考人として出席し、こう発言した。

〈(原子力産業は)国際的な展開を余儀なくされているというよりは、必然のものになっていると思っております。(中略)世界のマーケットを目指し、きちっとしたものを造っていくという日本の原子力産業の発展というものが基礎になるというふうに思っております〉

 委員会には日立の常務がいた。同社は原発輸出を計画中だから、さぞうれしかったに違いない。

 一〇年に役所を退職した望月氏は、日本生命「特別顧問」、矢崎総業「顧問」に天下る。日生は日立の大株主だ。同時に内閣官房参与に起用されて民主党が進めるベトナムへの原発輸出政策に一役買う。

 望月氏の“業績”を振り返ると、官僚なのか日立の社員なのかわからなくなってくる。無論、日立に天下った役人はほかにもいる。

 現職役員では、元労働省婦人局長の太田芳枝氏(社外取締役)と元資源エネルギー庁長官官房国際課長の田辺靖雄氏(執行役常務)がいる。太田氏は九一年に石川県副知事となった際、反対の声が強かった北陸電力志賀原発2号機計画について「今後原子力発電の重要性というのはますます高まってくる」と議会で答弁し、計画を後押し。志賀原発は日立製で、そこへ再就職したわけだ。その後、東電大株主である東京都の公安委員長にもなり、日立の報酬とは別に月額五二万五〇〇〇円をもらっている。

 このほか、日立に天下った官僚(役員)は次の各氏だ。

▼佐藤ギン子(労働省婦人局長)▼溝口道郎(駐カナダ大使・鹿島建設顧問)▼大河原良雄(駐米大使)▼野々内隆(資源エネルギー庁長官)▼福富禮治郎(日本電電公社総務理事)▼熊谷善二(特許庁長官)▼岸達也(大審院部長)▼原田武夫(大蔵省外為局長)。

 一方、日立社員のまま地方議会の議員をやる「日立社員議員」は、長谷川修平茨城県議をはじめ約三〇人。元経産大臣の大畠章宏衆議院議員(民主、元電気連合顧問)も日立出身だ。

 日立の原発をめぐっては〇六年、中部電力浜岡原発5号機の52インチ大型タービンが壊れる事故が発生。メーカーを問わずすべての52インチタービンを点検すべきだとの声が保安院内部からも出た。ところがボツとなり、志賀原発の日立製タービンだけを点検するよう、北陸電力の株主総会が終わるのを待って指示する。結果、やはり壊れていた。しかしその後、東電柏崎刈羽原発5、6号機のGE製52インチタービンも破損していたことが発覚する。保安院の対応は明らかに不十分だった。

 天下りが象徴する官業の癒着を断ち切らない限り原発事故は繰り返す。そして野田政権のもと、「シロアリ」根絶の気配は微塵もない。

(三宅勝久・ジャーナリスト、6月8日号)