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福島原発事件をふまえた法制面の見直しゼロ――危険な原発再稼働

 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の運転再開について、野田佳彦首相が6月16日にも最終決定する方針を固めたと報道されているなか、東京電力福島原発事件をふまえた法制面での事故対策がまったく進んでいない実態が明らかになった。福島みずほ参議院議員(社民)の質問主意書に対する15日の答弁で明らかになった。

 東京電力福島原発事件の災害発生当時に原子力災害対策本部長を務めた菅直人前首相は、国会が設置した「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」で5月28日に「原子力災害対策特別措置法(原災法)はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった」と述べている。

 政府は15日、「シビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要である」との答弁を閣議決定した。その一方で、原子力災害対策特別措置法の改正案は今国会に提出しているものの成立しておらず、同施行令や同施行規則・防災基本計画・原子力災害対策マニュアルの改定については「現在検討中である」と、事故前となにひとつ変わっていないことを認めている。

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「オフサイトセンターが機能せず、政府と東京電力が一体的に対応するため事故対策統合本部が設置されたが、こうした事態は原災法では想定されていません。これはほんの一例で、原災法の限界と問題点が多数浮上しています。福島原発事故の反省がなにひとつ法制面に反映されていないのに、原発を再稼働させることは無謀であり、住民の安全を守ることはできない」と批判している。

(伊田浩之・編集部)

質問主意書と答弁の全文はこちらに掲載しています。

福島原発告訴団の思い(6) 古川眞智子さん

〈告訴は悲劇を繰り返さぬための「けじめ」〉 福島県いわき市在住 古川眞智子さん(60歳)

 私たち夫婦は14年前、いわき市の山奥に家を建て、山を開墾し、無農薬有機農法で畑を作り、果樹を植え、沢から水を引いてワサビを栽培し、伐採した木にキノコを植菌し、薪ストーブで暖を取るという生活を謳歌していた。

 家で飼っている2匹の犬たちも、自由に野山を駆け回り、畑を荒らす猪を追い払ってくれた。私たちへの手土産とばかりに、モグラやネズミを狩ってくることもあった。私たちは、そんな平穏で幸せな日々を過ごしていた。

 だが、原発事故ひとつで、そのすべてが台無しにされた。家の東側は竹林で、北と西側は杉林。除染のしようがない。犬たちにまで、凄まじいばかりの被曝をさせてしまっている。私がライフワークにしていた自然観察の案内人「もりの案内人」の活動も、ひどい放射能汚染のためにできなくなった。

 事故から半年間は、毎日涙がこぼれて仕方なかった。体調も芳しくなく、今も口内炎を繰り返している。あの日以来、心の休まる日は一日たりともない。大きな地震が来て、福島第一原発の4号機が崩壊する夢を何度も見た。

 でも、これだけの被害を引き起こしていながら、なぜ誰も刑事責任を問われていないのだろう。このまま原発事故が風化してしまえば、この国は第二、第三のフクシマの悲劇を繰り返すに違いない。私たちの刑事告訴は、決してそうはさせないための「けじめ」である。

(まとめ・明石昇二郎〈ルポライター〉、6月1日号)